フォーラム「伝燈と志命」
第2回 地方創生経営者フォーラム・新潟

日本国内の地場産業として有名な新潟県燕市の金属加工業の中でも唯一、1枚の銅板を鎚で叩き起こして銅器を製作する「鎚起銅器」（ついきどうき）の伝統技術を200年に渡って継承している老舗企業。銅に多彩な着色を施す技術は、世界でも玉川堂のみが保有。世界最高品質の銅器を製造しながら、その技術の深さを国内外に広く発信し続けている。6代目の実弟・玉川宣夫が紫綬褒章を受章し、2010年（平成22年）、重要無形文化財保持者（人間国宝）に認定。

ルイヴィトングループで、シャンパンの帝王と称されるクリュッグの6代目当主オリヴィエ・クリュッグと玉川堂7代目当主玉川基行が意気投合し、コラボレーションとしてクリュッグオリジナルのボトルクーラーを共同開発。仏日の高級レストランやバーで使用されるなど、日本の伝統工芸老舗企業としては稀な世界的ブランド認知の高さを誇る。

1878年（明治11年）には、明治天皇の新潟への行幸の際に料理を出す。田中角栄も愛した、新潟を代表する老舗料亭。建物は文化庁の登録保存文化財。二度の大火に巻き込まれるなどの困難もあったが、再建し現在に至る。以前は一見さんお断りだったが、現在は法人のみならず、ご家族の祝い事等にも門戸を開げ、ブライダル部門も立ち上げた。

江戸時代、新潟は西回り北前船航路の拠点港として、多くの人々や物、そして文化が行き交う港町。まちには賑やかな料理屋が軒を連ね、訪れた人々を”古町芸妓（ふるまちげいぎ）”がもてなした。やがて、新潟古町は京都の祇園、東京の新橋と共に、”日本三大芸妓の街”と称された。そんな古町芸妓の芸とおもてなしの心は現代にも引き継がれ、料亭やホテルの宴席で人々を魅了。

1899年(明治32年)、日本で初めて「保存の効く糊」をビン容器に詰めた画期的な製品を開発して以来、接着、粘着を中心とした商品を開発し、でんぷん糊、液状糊、固形糊、それからテープ糊、その他ボビー商品を国内では販売。1923年(大正12年)人気女優・栗島すみ子をポスターモデルに起用し、“ヤマト糊”を商標登録して販路を拡大し、1950年(昭和25年)化学処理により強力で劣化しないでんぷん糊を製造できる「冷糊法」により製法特許を取得する。

液状糊の代名詞ともなっている“アラビックヤマト”が誕生したのは1975年(昭和50年)で、今でも年間およそ2000万本を売り上げている。同じくロングセラー商品となっている子供が間違えて口に入れても安心の“ヤマト糊”は、幼保でののりシェアナンバーワン！“ひとつの物を他のものとくっつける それは単に1プラス1を2にするのではなく、今までになかった新しい価値を見出す”という想いから、リテール事業とインダストーリー事業を国内外に展開している。