アース製薬 株式会社~暮らしに寄り添う商品を作る~
オープニング・創業の精神 ~家訓や理念誕生の経緯~
今回のゲストは、アース製薬6代目 川端 克宜(かわばた かつのり)
アース製薬は、1892年、大阪の難波で創業。当時は、「チキウ」や「キイロン」などの家庭薬を製造しており、創業以来、安全、安心、快適な生活空間をサポートしている。
お客様のニーズをくみ取り、製品化するために、各部門が連携し、新製品を市場に送り出すことの意義を明確に示していくそれがアース製薬伝統の新製品開発力に磨きをかけることに繋がっている。
今回は、そんなアース製薬の6代目川端 克宜(かわばた かつのり)の言葉から、事業継続の秘訣・その裏に隠された物語に迫る!
石田:本日のゲストはアース製薬株式会社、代表取締役社長 川端克則さんです。宜しくお願いいたします。
一同:宜しくお願いいたします。
朝岡:アースといえば老舗企業なんですが、事業内容は随分多岐に渡ってきているようですね。
川端:そうですね。当初(の事業内容)は皆さんが聞いてパっと思いつくように、「殺虫剤」なんですけれども、今はその他に「(モンダミンなどの)洗口液」、「入浴剤」、「防虫剤」、「芳香剤」と言った生活者に密着した商品全般を扱っている会社になります。
石田:川端さんは今何代目でいらっしゃるんですか?
川端:私で6代目です。
石田:アース製薬の商品がこちらにずらりと(ありますが)ご紹介いただいてよろしいでしょうか?
川端:私に近い方にあるものから紹介しますと、本当におなじみのこちらの商品が土台となったと言っても過言ではない「ゴキブリホイホイ」から始まりまして、あとは殺虫剤で言えば「アースノーマット」つけていれば一晩中蚊を落とすものであったり、入浴剤の話も先程少ししましたが「バスロマン」「バスクリン」なんかもこちらの製品となっております。
あとはお口クチュクチュ「モンダミン」ですとか、こういう形でまだまだ古いブランドもあるんですけど、最近で言えば新しく参入した園芸関係で言うアースガーデンの商品であったり、芳香剤も「スッキーリ」のように去年販売しました商品も生まれていると言うかたちになります。
朝岡:この園芸用品というのは、ブームということもあるんでしょうけれども、随分力を入れていらっしゃるんですね?
川端:殺虫剤をはじめとして、日用品を始めたという話もさきほどさせていだきましたけど、今後の企業の成長、会社の成長といったときにですね、もう一つ新しい軸があってもいいんじゃないかと言う考えになって、こうした園芸ガーデンの方に参入したということですね。
石田:川端さんが代表に就任されて、製品に改良を加えた所は?
川端:今の時代・豊かなことがあふれている時代ですから、ないものがない、となってますので一発逆転のような製品がなかなか出にくい中で、お客様の心理になった時に、使いにくいとか、こうしたほうがいいなと思うことがまだまだたくさんあるんだな、と。そういったことが園芸の中にはまだまだたくさんあるなぁと。
例えば「メモリが見にくいな」とか「少しポンプ式が重たいな」とか効き目が強い弱いということも大切なんですけど、製品全般的なことを考えるとそういう使いやすさとかを改良の原点として出してます。
朝岡:アース製薬の商品が本当に認知されているのもがものすごく多いもんですから、逆に言ったら、どうやったら認知されるようになるのかな、という戦略もちょっと伺いたいのですが。
川端:当然プロモーションというなかにおいてのテレビCMをいれていったり、最近で言ったらテレビCMだけではなくSNSであったりとか時代にマッチしながら告知をしていく。いろんなマーケティングショーというのはあろうかと思うんですけど、チャレンジは随時していく風土で有りますのであらゆることをチャレンジできる、ブランドが育つまで・認知していただくまでは続けていくという事になってしまうかもしれませんね。
朝岡:ある種しつこくいくぐらいのしぶとさを、認知にはかけているという(ことですかね)
川端:そうは言っても、どこかのタイミングでだめな商品は中にもなかったのかと言われれば有りますので、見極めと言うのは撤退のタイミングというんですかね。というのは大事なことになるんですけれども、基本的には増えるまでやり続けるという姿勢は持ってないとだめという風に思います。
朝岡:新しい商品を開発して、最終的にこれは販売しよう!川畠さんがGOを出すときにここは大事なんだと、ここはポイントなんだっていう何かポイントはございますか?
川端:当社の商品を出すときに一番の考え方というのは、ありふれた言葉になりますけど、お客様目線ということを特に最近は言うようにしてまして、いわゆる研究者であっても営業マンであっても社長であってもですね、一歩家に帰れば会社を抜ければイチ消費者になるわけですよね。
ですからこの商品(アース製薬の商品)を自分が使いたいという事になっているかということがポイントですよね。あくまでも生活者になった時にもう一度買いたいといわゆるリピートをしたいかどうかですよね。そういうことが一番の決めてになるんではないかと(思います)。
石田:アース製薬さんといいますと、殺虫剤と日用品と新たに園芸の方にも力を入れていらっしゃるとのことですけれども新しい柱を築かれると言うのは、これからもどんどん改革が必要と考えていらっしゃるんですか?
川端:そうですね。長く伝統ある会社と言っていただけて大変ありがたいのですが、特に最近は変化も激しいですし、生き残るためには変化に対応しなければいけないという中で、なんでもかんでも新しいことをやるのかということでもなくて、きっちりとしたニーズがそこにはあるかどうか、シナジーが生まれるかどうかそういったことは考えながら。ただ同じことを繰り返していては成長はないと考えてますのでバランスを見ながらの問いかけになりますよね。
朝岡:入社何年ですか?
川端:25年になるのかな?25年くらいですね。
朝岡:25年くらい。そうするとアースのイメージですね、入社する前に学生のときのイメージって僕は特に地方の田舎のローカルな場所でもバスの停留所に昔から水原弘さんのアースの看板が(あって)防虫剤の会社だなってイメージがあったんですよ。社長はどうですか?入社前のアースのイメージ?
川端:朝岡さんがおっしゃっるように殺虫剤の会社だということは当然わかっていました。というか殺虫剤しかない会社だというのは正直なところで(笑)
ただ当時はまだ今は国内で圧倒的な50%越える支持率というシェアをいただいているんですけど、当時はまだまだアースよりも大きい会社も有りましたのも事実ですし、殺虫剤以外のものはないと思っていた、というかなかったんですけれども、会社に入ってから気がついたんですが、すでに「モンダミン」もありましてね「バスロマン」もあったんです。それがアースだと思ってもなかったんです。入ってから気がついたということですよね(笑)
朝岡:それだけイメージが強かったということですよね。
川端:そういうことですね。
石田:こちらにある商品はもちろん社長もお使いなんですか?
川端:そうですね。さきほど言いましたように、自分のとこの製品が好きだという事もなかったらいけないことだと思うんですけれども、使っていいとこだけではなくいけないことがあれば次に改良しないといけないとこもありますので、そこはあくまでフラットベースで、社員だから社長だからという意味でなくて、いち消費者としてどうだと言う目では見るようにしてますけど。
朝岡:そういう意味では同じような商品でも他社さんのものを(お使いになったり)?
川端:当然。当然当然。それは使うようにしてます。
朝岡:使って、比較して?
川端:そうですね。いいなと思うところは有りますよね、当然。
朝岡:社長室にいらっしゃるだけの社長ではなくて、実生活でも色々実践なさるんですね。
石田:商品を消費者の方に認知されていく印象的なCMをうっていらっしゃるのはもちろんなんですけれども、他にも何か御社独自の商品認知のための工夫はあるんでしょうか?
川端:当社独自と言うことになりますと、商品については研究者が思いを込めて作っていくということになるけど、なかなかそれがお客さんにすぐに伝わらないことがたくさんありますので、それを少しでも伝えていきたいという事を考えたときに、お店にある店頭でこの商品がこうして生まれたんだとか、こういった背景があるんですよとか、こういったことの悩みを解決しますよとか、こういったことを伝えていくためにポップであったり一つのことを会社が作った販促物で全国で同じものでやるっていうのはエリアエリアによって違いますので、難しいです。
「エマール」というのがありましてこれは「earth」の「E」と「マーチャンライズ」の「M」と「A」は「action」「L」は「lady」、これを集めて「エマール」という言葉を作っているんですけれども、現地その場その場全国で300名近くの契約社員が独自の契約をしておりまして、現地の人達はその地域地域の消費者なんですね。
その方たちが、お店を回ってそのお店の方と話をして「うちのエリアだったらこういうものが売れるから、このことをポップに書いてください」とか、独自の売場づくりができる仕組みづくりを持っている、これが大きな特徴になっているんじゃないかと思います。そういった売場づくりと商品が合わさって売場づくり、物が売れる仕組みっていうのは独自の特徴じゃないかな。
朝岡:エマールの「L」っていうのは「lady」でしょ?ってことは女性の契約社員がいらっしゃって。
川端:そうです、そうです。
朝岡:実際の地方地方のお店に行かれて、こういう所にアースの商品が置かれているだとか、お客様の反応とかそういうのをご自身が感じながら?
川端:そうですね、そのエリアに住んでいる方をそのまま雇っているんですね。こういった日用品を買うのは7割が女性の方なんですよね。なので女性の心理が男ではわかんないということもございますので、女性の方で買う人の心理をそのまま伝える方がいい。
それと東京だけで商売ができておりません、店舗がたくさんありますので、沖縄に行けば沖縄の方言があったり沖縄独特の風土があったり、九州例えば熊本だったら熊本のことがあったり、広島だったら広島のことがあったりエリアによって状態が違いますので、そこに住んでいる方にしかわからないことを実現していくにはそのほうが良いんじゃないかと言うことが根底にありますね。
朝岡:アースさんの戦略としても、そういった意見とか反応を吸い込んでそれをまた反映させていく戦略を取っている?
川端:そうです。そこから上がってきた意見が膨大な量になっておりまして、次の商品開発に活かしたりとか、実はこういうことにもつながっている事になっております。
石田:ちょうどモニターさんというような感じですかね?お客様とアース製薬さんとの中間的立場というか…
川端:そうですね。事実アースの、当社の社員ではあるんですけど、普通であれば営業マンであれば数字のノルマがありまして、当たり前なんですけれどもそこに向かって歩いていくと。
ただし彼女たちエマールには、数字のノルマは持たせておりません。あくまでアースの商品も含めて売り場が活性化したかとか、売れたかということだけしか基準にしてませんので、当然数字がないってことは無理して(お客様の手に)取ってもらおうとか陳列してもらおうとかいう発想にはならなくて、いかにしてお店が盛り上がっていくのかという視点に変わってきますので、それが良い循環になっているんじゃないかと思っております。
朝岡:独自の存在ですね。
川端:そうですね。
ここからは、各テーマを元に、アース製薬6代目、川端 克宜の言葉から歴史と伝統の裏に隠された「物語」、アース製薬が誇る「長寿の知恵」に迫る。
石田:それでは創業の精神という事でアース製薬さんの歴史、経緯を伺えますでしょうか。
川端:創業は1892年、大阪の難波でキムラヒデゾウという男が創業しまして、125年になるんでしょうか?
歴史は長いということになっております。はじめは殺虫剤はやっていなくて、家庭薬を実は販売していたんですけれども、時代の背景とともに国内の商品を幅広く安く国民に届けていきたいというところから、殺虫剤を販売するようになって今に至るという。
朝岡:アースというのは英語で言うと地球ですよね。社名の由来と言うのは当初からあったんですか?創業当初から?
川端:いや、実は一番最初は先程申しましたキムラヒデゾウと言うものが創業しましたので、木村製薬という名前でしばらくやってまして、アース製薬という名前になったのは1929年と言う事になってまして、日本だけにとどまらず地球全員に届けていければいいなという思いが込められてアース製薬という名前に変わったと。
その前にアースという殺虫剤が会社の木村製薬の中のメイン商材になっておりましたので、そこからアースを社名に変えていったということです。
朝岡:それが1929年。
川端:そうですね。
朝岡:しかし数々のヒット商品が歴代どんどん出てきますね。
川端:そうですね。
朝岡:殺虫剤でも。
川端:ええ。毎年毎年変化をさせていかないとお客様に飽きられてしまうというのもあるんですけど、害虫も敵ながらあっぱれとあえてこういった言葉を使うと相手も進化してくるわけですよ。
10年前の例えば蚊であったりゴキブリであったりしてもですね、確実に強くなっているということですから、あちらもこうであればこちらもこうだと言う形で殺虫剤も進化していると。終わりなき戦いですよね。ということで繰り返しているというわけですよね。
石田:ハエだったり蚊だったり蜘蛛だったり、随分種類が豊富で…
川端:そうですね。お客様のニーズがそれだけ多岐に渡っているというのが根本的なところにはあるんですけれども、お客様のニーズがなければただの自己満足になってしまいますから、ベースであるものはお客様のニーズがあるんだというところになってます。
朝岡:薬とか殺虫剤もそうですけど、どっちかというとヒット商品が生まれると、それを伝統として守って看板として維持するという方法もあるんですけど、アースさんの場合はもちろん大ヒット商品と言うのは伝統として残っていくけれども、年々の変化も追い求めるという両方を求めている姿勢があると思うんですけれどもそのへんはどう(でしょうか)?
川端:ありがとうございます。本当にそう言っていただけるとありがたい。まさにその通りでして、このゴキブリホイホイという商品もですね、ほんとうに歴史の長いアースができたときぐらいからある商品なんですけれども。
じゃあその時の商品のまんまかと言えば、つねに知らず知らずのうちに進化をさせているんですね。少しずつ、はじめはチューブ式でこう(手をまわす用のジェスチャーのもと)やってたんですけど。
朝岡:そういえばそうだった。むかしはこうボール紙みたいなところにね!(塗るようなジェスチャー)
川端:そうそうそう。そこに粘着の物を置いて。今は(それが)粘着のシートになっていて。そこにゴキブリ誘引するという餌を置いているんですが。餌も進化させているんですね。美味しくと言うか言ったらあれですけど(笑)
そういったこともしながら知らず知らずのうちに変化しないと沈下するというか。これはあえて変えろ変えろと言わなくても知らず知らずのうちに、すべての商品がそうなんですが、少しずつ改良を加えていっていると。そのうちに大きな変化があるときには新製品ですよ、リニューアル商品ですよという形で出すとこれの繰り返しです。
石田:それだけ研究者の方が良いものを開発されているということなんですが、そういったことをHPに開発秘話として載せていらっしゃいますよね?
川端:アース製薬を知っていただく、あるいは、こういった思いで商品が出たんですよっていうことが幅広い範囲で知っていただけたら良いなということで、情報公開を積極的に進めている背景があります。
朝岡:それは企業としての自信という風にとらえることもできますけど、アイディアを盗まれるとかそういったリスクへの守りの気分にもなりがちですけど、あえてそれはもう出す?公開と言うか知らせる?
川端:そうですね、まさにおっしゃっていただいたとおり、一番こういったことを開発しただとか、こういうことができているんだという自信を持って開発している経緯がありますので、むしろそれを知っていただきたい、隠すより知っていただきたいという思いのほうが強いというところですね。
石田:それではアース製薬さんの家訓や理念を伺ってもよろしいでしょうか。
川端:理念はですね、「生命と暮らしに寄り添い 地球との共生を実現する」を掲げております。今までは「ベストクオリティー世界と共生」という経営理念でやっていたんですが、もう少しシンプルというか、シンプル=進化という形で、今回新しい経営理念に変更したということです。
つい最近コーポレートアイデンティティという事で理念を改めたところになっているんですけれども、アース製薬のアース、地球とともに今後発展していきたいというところが根底に有ります。スローガンも変えまして、あらたに「Act For Life」を掲げています。
朝岡:そういうところも変化させるのは厭わないと。
川端:そうですね。
朝岡:最近、企業理念も刷新されたようですけれども…
川端:いろんなタイミングがあると思うんですけれども、ちょうど私が社長になって3年が経ったところで、過去の歴史を紐解いたり見直したりするなかで、今までも「ベストクオリティー世界と共生」という理念がございまして。
進化とシンプルは一緒なんですけれども、地球の中で地球環境の問題が最近は言われておりますので、そういったことを考えながら共存していくんだということを明確に打ち出していきたいところで、新しい経営理念の刷新に至ったと。過去をきっちりと尊敬しながら次の世代に受け継いでいきたいという考えですね。
朝岡:最近刷新なさった経営理念は、社員のみなさんにはどう浸透させるといか徹底なさっているんですか?
川端:違和感があるかないかと言われればありますよね。新しい会社のマークも刷新しましたし、色んな意味で新しいことにチャレンジするので、実は私自身もまだ慣れてないというか、自分の会社でありながら違和感があるなというように思うんですけれども。
なぜそう言ったことをやるのかということをしっかり話していくのと、いわゆる露出面積が大事だと思いますので、あらゆる機会で「一回聞いたよ」ということも何度でも言っていく、会議のたびに言うようにさせて頂く、今日もこういった機会は非常にありがたい、回数に比例するので最初のうちは諦めずにしつこいなというくらいやるということ、それしかない、テクニカルなことはなくてそれに尽きるなと思います。
石田:言葉を口にすることは容易いかもしれないんですけど、なかなか体に落とし込むことは難しいというか…
川端:自然にできるようになる・・・よくプロ野球選手なんかでも言うと思うんですけど、結局反復して練習してやらなければいけないと思っている間はだめで、自然とそれができるようになるまでやるんだという、非常にシンプルですよね。
それと一緒だと思うんですよね。自然と違和感がなくなるまでそれを言い続けるしかないだと。
朝岡:何事もね、新しく変わったばかりのことというのはそういう形で繰り返したり何度も口に出したり、という事になるんでしょうけれども、ロゴも新しくなったということで、新しいスローガンも含めてどういう風に新しくなった?
川端:ロゴはですね、皆さんこう言うとわかりやすいと思うんですけど、赤字にまるのアース、アースの代名詞ですよね。会社のマークだったんですが、「地球」アース製薬は地球が名前の由来ですので地球を一つモチーフにして、そこにアース製薬。
あるいはアース製薬で働く社員の情熱的なスピリッツが現れる形にしたいということで、青い地球の中に赤いこう(手を動かしながら)マークが入ったマークに変えたと。
石田:ちょうどその胸元に付けられているバッチがそうですね。
川端:そうですね。そういったことがメッセージとして伝えていけたら良いですし、少し何よりここから先はグローバルというか世界に向けてチャレンジもしていきたい、アクセルも踏んでいきたいという思いの中で(ロゴの)丸の中のアースがカタカナなんですよね。
日本では良いんですけど海外にいくとカタカナは通用しないと、ですからこれを機に英表記のアースという文字を入れたという形になっています。
朝岡:ロゴや会社のマークっていうのは会社の顔ですから、これを変えるとなるとかなり勇気がいると言われてますけれども、しかもカタナカナでアースと見た瞬間わかるんだけどそれを変えるというのは大きな決意と覚悟で変えられたということですね?
川端:ありがとうございます。これは言われるし、私自身も愛着があるのはと言われれば前のマークですよ。
当然(そうで)あるし、マークを見ればアースだとわかっていただけて、そのマークの裏付けに信用もあって、それを積み重ねてきたわけなので、それを捨てる辞めるいうことに勇気はたしかにいったんですけど、立ち止まっても仕方がないので、新しいマークを一日でも早くなるように作っていくのが私の仕事であるしこれからの仕事になってくるんじゃないかと考えました。
決断 ~ターニングポイント~
決断、ターニングポイント。会社にとっての転機、経営者自身のターニングポイント。その裏に隠された物語とは。
石田:続いては、決断ターニングポイントということでまずは会社にとっての転機・ターニングポイントを伺えますか?
川端:ターニングポイントというのはその時代時代に細かくあったんじゃないかなぁと。殺虫剤がなかった時代から例えば家庭用品の「モンダミン」が発売したころもターニングポイントといえばターニングポイントかもしれませんし、いろんなことあるんですけど、じっと考えてみますと今がターニングポイントじゃないかと。
これはお客様の変化購買の変化も非常に激しい時代ですし、娯楽もテレビしかなかった時代から、今はもうケータイの普及でいろんな楽しみがあるなかでいろんなことが起こり得る時代になったもので、ひょっとしたら今がターニングポイントじゃないかなと想いますね。
朝岡:会社の経営理念とか会社のロゴも含めて変えられたばかりでしょ?そういう意味でも会社の変化をしているというのもあいまって、今がターニングポイントという。
川端:そうですね。そうなれば良い意味でね、そうなれば良いな、と願いも込めつつ思いますね。
朝岡:なかなか自分に寄り添う生活商品ですから、そのもの自体が必ずないと困るというのと、またちょっと離れた所に位置している商品だと思うんですけどね、そこで商品に特化しているところからするとターニングポイントは常に今を見ていなければいけないというところがあるんですかね。
川端:おっしゃる通りで、今朝岡さんが寄り添うという言葉を使ってくれたんですけど、そこに非常に重きをおいてるというか、必需品といえば必需品となりますけど、気がつけば使ってるなとこういったことを目指している。
そうなればお客さまのライフスタイルをつねに意識しておく必要が絶対にありますので、そういった意味においてはこの時代あるいはここから先の時代というのは情報のスピード等を考える時に、お客様の変化が過去10年くらいで起こった変化が1年単位で起こる、あるいはもっと早い単位で起こる可能性はありますので、そこは非常に大事なことだと思います。
石田:なかなか自社の商品を評価されるというのは難しいでしょうね。お客様目線に立つということをずっとおっしゃってましたけど、なかなか難しいのかと。
川端:一番大事なのはお客様目線、これはシンプルなのが好きなのでわかりやすくて、難しい言葉で言ってもわからない、伝わらなかったりするので、純粋に「お客様目線」あるいは「コミュニケーション」といったような言葉を使って意味合いを説明しようとしているんですけど、お客様目線と言ったらもうお客様目線がすべてだといったことですよね。
自分も一歩家に帰ればお客様、いち消費者になる。その目線があるかどうかというのは本当に重要な、殺虫剤だけに限らずいろんなことに当てはまるんじゃないかと商品づくりは本当にそうなんですけど、商売をやっているもんですから当然人対人の付き合いと言うか、お得意先もあればそういったことになりますよね。
そういったことについてもお客様目線ということを当てはめてみれば、自分がお客様の立場であればどういったことを求めるんだとか、意外と答えというのはこういったとこにあるんではないかと思いますけどね。
朝岡:商品とかあるいは会社・企業そのものを知っていただくと言う意味ではもちろん広告とかになるわけですけど、ショートムービーも作ってらっしゃる?
川端:そうなんです。今年になってアース製薬の考え方、理念あるいはそう言ったことをそういった形で伝えていくことができるのかと、当然行動で伝えていくことが大事なんですけれども、チャレンジしていきたいなあと思ったので、一つにムービーというかミニチュア映画にして、こういうことを考えている会社なんだというものを作りたいと思って今年チャレンジさせていただきまして。「吉田家の縁側」ということで作らせていただきました。
どうしても商品づくりをしている会社なので、ぱっぱかぱっぱか商品をだしてアピールをしたい思いもゼロではないし、そういう声も社内にはあったんですが、それをやっていると今までと同じになるので商品のことは殆ど出さずに、吉田家という人間模様のあるドラマの中に吉田家の中にはいろんなことがあるんだけど、吉田家の縁側にはアースノーマットがいつの時代でもあるよねという。
そういったことをやっていますね。そういった商品づくりをしたいと。そういうことを伝えれたらいいなといった思いで作ったんですけれども、いろんな賛否両論は先程言った意味ではあるんですけどね、こういったこととかもチャレンジをして取り組んでいければいいなと思っています。
大阪の難波で創業。以来、125年にわたり、安全、安心、快適な生活空間をサポートしているアース製薬。その6代目を務める川端 克宜が社長就任に至った経緯とは…?
先代、川端自身の決断、その裏に隠された想いに迫る!
石田:ちなみにですね、川端社長御自身のターニングポイントはおありですか?
川端:これも同じような形になるかもしれませんが、アース製薬に入ったのは縁があって入った、縁がなく入ってなかったら社長にもなってなかったかもわかりませんから、いろんなことがタイムタイムであるんですが、今のポジション、社長になったときがターニングポイントだと思います。これは事実かもわかりませんよね。
朝岡:社長就任はよんじゅう…
川端:2歳ですね。
朝岡:(よんじゅう)2歳ですか。これは業界的には青年社長と言われる年代であって、五十代後半から六十代で社長というのがケースですけど、随分お若い就任でしたね。
川端:そうですよね、全く否定しませんですし、自分でもなるとは思ってませんしね、よもや。前の社長現会長がですね55歳で辞めているんですが、辞める5年前から「辞めるよ」と言っていたんですよね。
社員にもツルツル言い出して。先程朝岡さんもおっしゃられてように、若いじゃないですか?60(歳)でも70(歳)でも若い時代になってますから。僕ら社員はそうは(辞める)言ってるけど彼らもまあまあ言ってもまだだろと思っていましたが、それが1年経ち2年経ちしていたら、後3年で辞めるよー、あといよいよ2年だと言うんですね、毎日のように(笑)
朝岡:カウントダウンしてくるわけですね(笑)
川端:カウントダウンしてくるわけですよ。これちょっとホンマに辞めるなと大体2年前くらいから社内がざわつくというか、ホンマに辞めるんちゃう?ということから、ただ私は自分がやると思っていませんから「ホンマに辞めるんだろうけど誰になるんだろうな」ぐらいなもんですよね。今でも鮮明に覚えてますけど。
朝岡:最終的には先代社長から指名をされたという。
川端:そうなんですよ。
朝岡:形で?
川端:ええ。びっくりしましたね。正直びっくりしたというのも通り一遍等な言葉ですけれども、それ以外の言葉はなんにもないですよね。
ある日、当時大阪支店長をしていたんですけど、当時の社長が大阪に来る用事がございまして、珍しく得意先自分が用事がある先に「送ってくへん?くれない?」という感じ(に言ったん)ですよね。普通だったらタクシーパっと拾って、ご自身で行かれるんですよ。
珍しくそういうこと言うなと思ったもんですから「いいですよ」といったんですよ。社長ですしね。命令ですから逆らえませんし(笑)いくじゃないですか。社長が言いたかったんでしょうね(笑)
着いちゃったんですよ、目的地に。「つきましたよ」と言うとね、「もう着いた?」と言いそびれてるんですよ(笑)今から振り返ると。「ちょっとこの後時間ある?」「ありますよ」と。「じゃあちょっと車停めてお茶でも飲もうよ」みたいな。何だ、みたいな感じでしょ?(笑)
僕にとってはなんかあるんかな?みたいな話ですよね、僕にしてみたら。「分かりました」と言ってモデムのラウンジでお茶をしている時に「じきに俺が社長を辞めるっているのは知っているよね?」と(言うので)「言われてますよね」と。その時僕はスクープネタが入るかな?!くらいですよね、次期社長の話聞けるわ~と。
自分だと思ってませんから。「で、その話なんだけれどね、決めたんだ」ああ決めたんか!と(思って)「そうですか」(と答えたんですよね)「お前やってくれへん?」(と言ったん)ですよね。サラッと「お前に決めてねー」と。その時立て続けに「実は役員会の了承も取っているし、創業家の方も了承取ってるからあとはなんも心配いらんからね!よろしくね!」という行為、言い方ですよね。
このときはね、先程びっくりしたと言いましたけど、よくわかんなくてそのことの重大さとか、そういったことも含めて。いわゆる力強いはい!という返事よりも生返事のはぁかハイかわからんような返事をしたのを覚えてますね。
朝岡:それほどやっぱりいきなり言われても、把握するのに時間がかかるくらい大きなことが…
川端:そうですね。よく言われているのが大役というか大変なことを引き受けられましたね、とか言われた時どうでしたか?とか言われるんですけど、一晩考えさせてくださいとか言う洒落たことを言う余裕がなかったんですよね、何のことが理解ができなかったというか。みたいな感じでその時のことは覚えてます。
石田:先代はそれこそ50代60代の方じゃなくてなぜ当時42歳ですか?
川端:ええ。
石田:川端さんに指名されたんだと思われます?
川端:後から聞きますとね、いろんな候補がいたのは事実だと思うんですけど、ご自身の経験で、ご自身も40・・・39歳のときですかね?から社長を15年間やっててご苦労も当然今の会社の規模と違いますからね。
僕以上に苦労もしててというのはあるんですけれども、そういった中でご自身の経験がたぶん照らし合わせて、やはり若い発想のほうが柔軟に発想できるだろうと、これは事実だと思うんですね。これも周りの環境下の中で当然上場していたという業績もありますから事実として1年1年の勝負なのは事実なんですけれども。
一方で長い会社の存続を考えた時に、すこし長いスパンで経営が見れる人材のほうが良いんじゃないかという事も言ってましたね。これは失礼になるかもわかりませんがやはり50,60の人に引き継ぐと5年とか6年くらいのスパンで考えないので、そうなると10年20年のスパンでしか思いつかないこともあるだろうし、そうなった時に若いほうが良いんじゃないかってことはちらっと聞いたことはあります。
朝岡:やっぱりそこが先代から受け継ぐというか、つねにチャレンジしていくというか、長いスパンで会社全体のマネージメントをできるというのは大事なポイントだったみたいですね。
川端:そうですね。今となってはその意味も、その時は先程も言いましたようによくわかんなかったんですけれども、冷静になって考えると1年でできないこともたくさんありますし、当然1年でやらなければいけないこともあるんですけれども、会社経営の中身を考えると時間の軸ということが要素を占めるというのもわかるなと思います。
朝岡:社長に就任してから苦労したこと、あるいは社長以前でも結構なんですけれども、マネージメントで「長」がつくセクションというのは、どうしてもマネージメントの苦労とか工夫も必要だと思うんですがそういうご経験ありますか?特に苦いというか苦労されたというか…
川端:よく言われてというか経験もそうなんですけど、いまもそうなんですよ、若くして社長担ったのは良いけど、先輩が部下だとか多いでしょ?とか大変でしょ?とかこういうことを言われて、事実かもわかんないんですけど。
先程も申しましたけど、コミュニケーションが大事ではないかなと自分自身の経験でもありましてね、腹割って話す、思っていることを伝えたら、100%その場ではわからなくても話していると、そういうことだったんか、とわかってもらえるとか、そういう経験をさせてもらえました。
もう一つは年上の例えば朝岡さん先輩を部下だとするじゃないですか。これを皆は大変だと言うでしょ?そうじゃない、逆に考えてみたら、と言われたことが有りましてね。年上の方が年下のいわゆる上司こっちの方が大変なんだよというのを聞いたことが有りましてね。
よく考えたらそうですよね。昨日まで後輩だったやつが上司になったらどっちのほうがしんどいか、これはもうお互い様ですよね。だから自分がしんどいだけじゃなくてやっぱり相手も同じように気を使ってしんどいことも有りますので、相手の気持にならんと、考えたときにコミュニケーションを含めて大事なことがあるんじゃないかという経験が自分の中では大きな財産、石杖になっているなという考えですね。
言魂 ~心に刻む言葉と想い~
言魂、心に刻む、言葉と想い 強い想いと信念が込められた言葉には魂が宿り、人の人生に大きな影響を与える。 川端 克宜(かわばた かつのり)が先代や家族、恩師から受け取った想い、そして、自らの胸に刻む言葉とは?
石田:続いては言霊ということで先代やご家族から言われた印象的な言葉、そこに隠された思いを伺っていきたいと思います。
川端:まず先代の社長から口癖のように言われていたので、私がどうというより社員全員が知っていると思いますが、「継続は力なり」ということをよく言われておりますね。
先ほど話しをさせてもらっている中で商品も売れるまで諦めずにやるんですよ、とかこういうのはチラチラと知らず知らずのうちに使っているんだと思いますけど継続していくことが力になる、まあその言葉の通りみなさんもきいたことがあるように意外と難しいんですよね。
継続できないじゃないですか色んな意味で。ですから本当継続していくことが大事だということが、あらゆるうちの会社の中ではお客様のベースとなっていると考えますけどね。
朝岡:「継続は力なり」そうですね、「ゴキブリホイホイ」もね、継続してここまでのポジションですからね。
川端:そうですね。だから意外とシンプルと言えばシンプル、「有言実行」言ったことをそのままやっている会社だと自分自身も理解してますし、本当に正直な会社でできないことは言わないし、簡単なことかもしれないけど言ったことはそのままやっているなと思う会社ですよね。
朝岡:(継続は力なりと)言われた時は口癖のようにとおっしゃっていましたけれど、最初はやっぱりどうだろねと思うだけだったかもしれないですけど、こういう立場になって色んな商品も出てできて、その継続は力なりというのもずいぶん変わってきましたか?気持ちの中でといいますか…
川端:ほんとに難しいんですよね。継続することの難しさいわゆる当たり前のことをやる難しさこれに気付いてというか。でもだからこそそういうことができるのが偉い、大事だなあと一番当たり前のことを当たり前のようにやるということが、継続は力なりということになるのかと思います。
石田:その他に、今現在社長が胸に刻んでいる言葉っていうのは有りますか?
川端:基本的には先程言ったことがベースになりながら「強く思うことは実現する」というのは僕の好きな言葉なんですけれども、やりたい、こうしたいと思うじゃないですか。
途中でそれが実現することもあれば実現しないこともあるんですけど、実現しないということはどこかでまあいいやと思うから途中でやめちゃったりとか、それでいい場合もあるんですけどね。本当にしたいことがあるとか、実現したいと思えばそれが行動になりますよね。
ですから途中で辞めちゃうとか商品だけかもわかりませんし自分の行動だけなのかもわかりませんけど、途中で辞めるのがだめなわけではなくて辞めちゃうということは実はそんなに強く思ってなかったんだなといったふうに自分に置き換えて、それでほんとに良かったのかどうかと、そうでなかったら自分の思いが足りなかったんだから自分がいけないと、こういった感じですよね。絶対したいと思えば行動になりますよね。だから強く思うことは必ず実現するんだと言った言葉は好きな言葉ですね。
朝岡:会社の理念も新しくなったりコミュニケーションが大事だとおっしゃったり、そこに言葉の力というのは随分大事だなという機会があるじゃないですか。
川端:本当にコミュニケーションと言う言葉も何度も話させてもらっているんですけど、失敗って言う失敗ではないのかもしれませんけど、経験という中で苦い思いもそうかもしれませんけど本当に伝えることの難しさ、行間というか…メールも大事だしラインとかそういうのも大事なんですけど、それを短い言葉で伝えるのは大事ですけど、隠れている行間の思いと言うのは探らないとわからないですよね。
だからコミュニケーションを取ることは非常に大事だなと思いますね。なぜそのように思ったのかとか、同じことを喋っていても文章だけだとわからないけど、目を見て話すと表情を見てわかるじゃないですか。そういう事を言っているのは苦しいんだろうなとか。
同じごめんなさいも、文章で見るごめんなさいと、(表情を見て)苦しそうにごめんなさいもう本当に…などとやっている方が伝わるじゃないですか。ありがとうもそうかもしれませんし。しゃべらないとわからない、本当にそういったコミュニケーションの大切さですよね。
NEXT100 ~時代を超える術~
革新を続け、100年先にも継承すべき核となるモノ…。アース製薬6代目、川端 克宜(かわばた かつのり)が語る時代へ届ける長寿企業が持つ知恵とは。
石田:最後にNEXT100年ということで、次の100年に向けて変えるべきもの、変えられないものこれから会社にとってコアとなる部分を教えていただけますでしょうか。
川端:これまで創業125年という話をさせていただきましたけど、アース製薬はこの間に変化してきたんじゃないかなと思うんですね。殺虫剤から日用品を扱うところまでになってるということを考えれば、今後の100年というのは全く想像がつかない事業をやっている可能性は否定はしない。
今から100年前にまさかこんな園芸用品とか、芳香剤とかモンダミンとかをしてるとか想像してたかと言われればきっとしていなかったでしょうね。
そういったことになると思うので、非常にお答えしにくいんですね。地球と共生、地域社会と共生あるいはお客様と共生という理念にあるとおり、その時のお客さまのニーズがどこにあるのかというのを見極めたあとで当社のできることがあると思いますし、ニーズについていける会社であればまだまだ100年後もアース製薬として生き残れる、立派な会社のままでいれるのではないかと思います。
そういった意味では今の事業に固執するようでしないようでというのが答えになるような、ならないような感じかと思います。
朝岡:色々お話伺うと、お客様目線のものが大事、社内ではコミュニケーションという言葉がでてきたり、我々のイメージとしてはアース製薬は変化やニーズにすごく敏感なものを大事にすると言うところがあると思うんですけど、これから変化がありますけどあえて変えないものがあるとするとどういったものになるとお考えですか。
川端:社員も含めて事業をしていくのが人だと思いますので、コミュニケーション会話ができるのも人だからこそできる。
便利な世の中になったので使いこなす技術AI、IOTとか言われるのもあり、対応していきますけど、どんな時代になってもAI、IOTを使う、使いこなしていくのは人なので、人を大事にすると言うか我々社員が中心になるというか・・・アナログな時代に戻るという発想はなくて、今の時代にあった人を大事にすると言うか人が全てだと言うことは変えてはいけない変わらないことだと思いますね。
これだけ便利になっているし、AIが発達するから社員はいらないなとか、こういうことはうちの会社ではならないと思いますね。
朝岡:原点の殺虫剤は、害虫がいたら嫌だなってとこから御社が隆盛を極めていく道のりが始まって、気がつくと生活であったら良いなと思うものがいっぱい商品になって、そういうものを作っていく仕事というのは、仕事ということと同時に楽しみっていうか…
川端:そうですね。生活用品を扱う会社に入社してよかったなと思うことですね。
朝岡:まだ40代でいらっしゃって、長いスパンを見てもらえるという先代の希望もあって、青年社長として就任されて活躍し始めたばかりでまだちょっと早いかもしれないけど、次の後継者づくりというのはまだ考えていませんか。
川端:そうですね、結論から言えば、まだ考えてないですね(笑)。いずれ考えなければいけない時があるでしょうし、先代が私にバトンタッチしてくれた時の気持ちもよりわかるようになる、そういったことも経験できたらいいと思いますね。
石田:ちなみにですね、後継者となる方に、これだけは言っておきたいということってございますか。
川端:私もそうだったのですが、失敗をおそれずチャレンジすること、失敗してもリベンジしていく、やり返せばいいだけなので、そういう人を選びたいのでそういう人になっていただけたらと思います。
アース製薬、6代目川端 克宜
社員一人ひとりが生活者であることを常に意識しお客様目線で世の中のニーズを見つけ必要とされているもの、繰り返し手に取っていただけるような暮らしに寄り添う製品をつくり続ける。
お客様の暮らしに寄り添う製品を作り続ける。常に社員一人ひとりが生活者であることを意識し、お客様目線で世の中が必要としているモノ、繰り返し手に取ってくれるモノを生み出し続けたい。
この思いは、100年先の後継者達に、受け継がれていくだろう…
最後に、文字Artist 平井省伍(ひらい・しょうご)がアース製薬6代目 川端 克宜の言葉から、感じ取った想い・メッセージを書に綴る…
「継続は力なり」
アースとは地球 空・木・大地 そして世界へつながる
進化はシンプルななかにある 情熱ある根が本物の力になる