八王子市市制100周年を迎えて
市制100周年記念事業を成功裡に終えた石森孝志八王子市長に、今後の八王子市のまちづくりについて伺いました。
石森孝志八王子市長 紹介
昭和32年8月8日生 東京都八王子市出身
- 東京都経済農業協同組合連合会(現全農)10年勤務
- 従業員組合執行委員長として労使間協調にあたる
- 石森産業株式会社設立
- 八王子市消防団 団員
- 八王子市立加住小学校PTA 会長
- 共立女子第二中学高等学校後援会 会長
- 八王子市議会議員3期
- 八王子市議会 総務企画委員会 委員長
- 八王子市議会 議会運営委員会 委員長
- 東京都議会議員2期
- 都議会 警察・消防委員会 委員長
- 都議会 環境建設委員会 理事
- 平成24年1月 第29代八王子市長就任
- 平成27年4月 初代中核市八王子市長
- 平成28年1月 第30代八王子市長再任
座右の銘
「一視同仁」(どんな人でも平等に慈しみ、区別なく接すること)
好きな著書
- 『小説 上杉鷹山』 童門冬二/著
危機的な財政を建て直し、改革を進めた理想的なリーダー。
常に人々の事を思いやりながら改革を行い、強く印象に残っている。 - 『幕末』 司馬遼太郎/著
司馬遼太郎の作品は数多く読みましたが、その中でも歴史の陰に
かくれた人物を主人公にした短編小説で面白かった。 - 『指導者の条件』 松下幸之助/著
多くの指導者の事例を交えながら、リーダーとしてのあるべき姿を
書いた本で非常に参考となった。
八王子市長とまちづくり
市制施行から100年の歴史を振り返り、どのようなまちづくりに取り組んでこられましたか?
大正6年に市制施行し、人口42,000人でスタートしました。
当時と時代背景は異なりますが、戦後の人口増加、その後の周辺町村との合併により大きくなってきた八王子市には、様々な地域で古くから育まれてきた地域性豊かな歴史と特性を持っています。あとからまちづくりが進められた隣接地域に比べ八王子市は発展の速度が遅く感じられていましたが、平成27年4月に中核市に移行したことを契機に、福祉、開発、教育ほか東京都から譲渡された権限を活かし、他市ではできないことをスピーディに、そして率先して取り組み、三多摩地区をリードするまちづくりを目指しています。
また、多様な歴史があるがゆえに、それらを守ろうとすることが事業展開に影響したこともありましたが、様々な地域資源や魅力を活かして「攻めのまちづくり」をしていきたいと考えています。
市制100周年を八王子市としてどのように捉え取り組まれましたか?
新八王子市史
100周年の節目に市内外の多くの皆様に八王子市の歴史を知っていただこうと、平成19年度から市史の編さんを進めてきました。歴史を振り返ることは重要との考えから、この節目の時を多くの方に感じていただき、次なる100年にどう結び付けていくのかということを考え、八王子の子どもたちにも記念事業に関って欲しいとの強い思いから、多くの小中学生に参加いただきました。
いろんな分野で提言なども出していただき、これを将来に活かしていこうという取り組みもしてまいりました。また、市行政の企画だけでなく、市民が自ら企画実施する市民提案事業なども実施し、多くの市民の皆様に参加いただけました。
市制100周年事業で特に印象に残っている取り組みはありますか?
120を超える事業の中で最も大きかったのが国土交通省の提唱する全国都市緑化フェアで、毎年どこかの都道府県で実施されてきましたが、事業規模からも今までは都道府県単位や政令市で開催されていた中で、八王子市は最も少ない人口の自治体として行うことになりました。
式典では自衛隊によるブルーインパルスの展示飛行のほか、緑化祭では秋篠宮同妃両殿下に御臨席いただき、多摩森林化学園で育てられた八重桜「はるか」を植樹いただきました。また、市内108の小中学校の生徒に参加いただき、1校1本ずつ桜を植えてもらいました。期間中40万人程度の来場を予想していましたが、天候にもかかわらず延べ70万人を超える大盛況となりました。
緑化祭記念植樹
ボランティア植え付け
もうひとつは記念式典で、式典には北条氏つながりで姉妹都市盟約を締結した小田原市、寄居町、また、八王子出身で戦後の混乱期にチフスが流行したドイツに渡り大勢の命を救った肥沼博士のつながりから友好交流協定を締結したドイツ・ヴリーツェン市の市長、議長、政府関係者をお招きしたほか、姉妹都市の苫小牧市、日光市、海外友好都市の高雄市(台湾)、始興市(韓国)、泰安市(中国)からもご参加いただきました。
120をも超える記念事業をどのように運営されましたか?
生涯学習フォーラム
1年限りの事業でありますので、とにかく成功させたい想いに終始しました。市としては実行委員会形式をとり、実施本部を設けるなど組織を作って臨みましたが、人口の比較的多い八王子市は様々な地域イベントもあり、市民の皆様もイベント慣れしていることから町会や自治会にも積極的にかかわっていただけました。次なる100年の主役となる若い世代の皆様に、できる限りかかわってもらいたいという気持ちが常にありましたね。子どもたちも巻き込んで郷土愛を深めていただこうと、八王子の「8」にちなんだテーマに八王子の良さや未来を中学生の皆さんに考えていただいたビジョンフォーラムも多くの皆様にかかわってもらったことが事業の成功といえます。
未来を担う子どもたちに伝えたい想いはなんでしょうか?
八王子には様々な歴史があり、この100年の中においてもそれを支えてきた多くの市民の皆様がおられ、肥沼博士のような偉大な方々も輩出しているまちです。若い皆さんにはこの八王子の良さ、魅力を感じとっていただき、好きになっていただきたいですね。そして、将来のことを考え、次の八王子のリーダーになっていただきたいです。
市長の目指すこれからの八王子の姿や目標などはありますか?
今年、市制101年目の八王子市、所信を語ってくれた石森市長と八王子市民の新たな100年のあゆみが今スタートした。
全国的に人口減少が進んでいるため、競争になっていくところではありますが、現在の人口を維持していけるように取り組みたいです。平成22年頃から転入者が増えているため、現在は維持できていますが、さらに移り住んでいただけるよう職住近接の確保や魅力を高めていく努力が必要です。幸いにも八王子市は国道や高速道路のインターなど道路の整備は充実しており、川口地区物流拠点整備事業をはじめ、業務用地に余裕もあるなど明るい材料もあります。最近では明治ホールディングスや日清の研究所も進出していただき、今後、さらに充実を目指す条例や制度を活用した企業誘致に取り組んでいきたいと考えています。そして、日本一住みやすく、子どもたちにやさしいまち八王子を目指したいですね。