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〈第3部〉「萬燈照国」特別対談『地方創生に必要な人財』

この対談企画では、智慧の燈火プロジェクトにご賛同いただき、現在もプロジェクトの展開、発展にご尽力いただいている長寿企業の代表の方々、関係者の方々をお招きし、「未来へ繋ぐ、地方創生の新しい形」をテーマに忌憚のないご意見をいただいています。

今回はNSGグループ代表 池田弘氏と株式会社チエノワ 代表取締役 田中雅也が、地方創生のあり方と、プロジェクトの未来について、語り尽くしましたので、その模様を3回に分けてご紹介します。

〈第1部〉挑戦という試行錯誤の先に、人生を生き切る軸を見出していく
〈第2部〉時を超え、世界遺産を発掘する「智慧の燈火プロジェクト 」に共感した瞬間とは
〈第3部〉地方創生には「よそ者・馬鹿者・若者そして旦那」が必要不可欠※本記事

〈第3部〉地方創生には「よそ者・馬鹿者・若者そして旦那」が必要不可欠

智慧の燈灯プロジェクトの展望

池田:智慧の燈火プロジェクトの展望は?

田中:短期、中期、長期で分けると、短期的な目標としては、従来の番組や雑誌、フォーラムを通して、全国各地の長寿企業の知恵を発掘する仕組みを継続して全国展開し、さらに、チエノワクラブの立上げ、長寿企業の組織化(全国燈火会)、NEXT100年企業の会員化、チエノワメディア(長寿企業の知恵を日本・世界へと発信するメディア)を構築したいです。

続いて、中期的な目標は、教育事業(後継者&参謀育成)、AIコンシェルジュ(経営者の悩み解決)、研究機関(世界中の学者による研究組織)を作ること。そして、長期的な目標として、教育事業の世界展開、2年毎のチエノワサミット開催(世界中の長寿企業が集う会)、海外人材の研修プロジェクト(インバウンド)事業を生み出し、運用していくこと。

その為にも、想いをブラさず貫いていくこと、「初志貫徹」これに尽きると思っています。思い描いていなかったこと、本プロジェクトへの反対意見等が沢山起こると思いますが、順風満帆ではない一つひとつの出来事を通して、志を更に強く・太く・大きくし、同志の結束を固めながら、僕たちしか築けない道を築くべく、皆の知恵を結集し、道を見出していきたいですね!

田中氏

池田:日本全国へと長寿企業の組織を広げるにあたり、長寿企業の数が全国第4位の新潟においてモデルを構築していきましょう。長寿企業だけでなく、行政機関や銀行にも参加してもらい、共に運営し、新潟発モデルを全国展開したい。そして、新潟総合学園の中に、研究機関の創出、教育事業を開発し、長寿企業の後継者を育成すると共に、参謀となりうる人材の育成も実施していきたい。人材育成メニューだけでなく、人材発掘し、経営危機&後継者不足の長寿企業を変革し、地域と共に未来へ繋げていく仕組みを構築していきたいと思っています。

池田氏

地方創生には「よそ者・馬鹿者・若者」が必要不可欠

田中:現在、弊社は東京都千代田区にオフィスを構えています。主に関東圏の長寿企業の代表の方々、関係者の方々とお会いすることが多いのですが、フォーラムなどで地方に行くと、最初は年齢や会社の知名度もないので、皆さん半信半疑な印象を受けます。ただ、数年前にご縁を頂いた長寿企業の方々とも、今でも変わらずご支援ご協力を頂けていることは、本当に有難い限りです。

池田:地方創生には「よそ者・馬鹿者・若者」が必要不可欠だと感じているが、智慧の燈火プロジェクトはまさにこれに当てはまる。一見すると、より儲かるビジネスが沢山創れるにも関わらず、敢えてそれを実行せずに、想いを共にする人とのみ、事業を展開する田中さんのビジョンと行動力、使命感は本物。

だからこそ、短期的な利益ではなく、中長期、長期的な視点で本プロジェクトを見ることができ、「日本が誇る世界遺産を遺していこう!」という志に共感できる企業には、是非一度田中さんに会って欲しい!会って想いを直接聞ければ、絶対に応援したくなる(笑)そんな人物だからね!

田中:今回、取締役会長としてチエノワに参画頂いた池田さん。本プロジェクトを更に大きく発展させていく上で大きな旗揚げのお一人になって下さったと、改めて実感しています!

智恵の燈灯プロジェクトは、融和と伝承を生み出すフェーズへ

田中:2017年、2018年を通して長寿企業の知恵を発掘できる仕組みと信用を一つひとつ築く事ができたからこそ、次のフェーズでは融和と伝承を生み出したいと考えています。融和とは、既に「燈火同窓会」としてご縁頂いた長寿企業の皆様を繋ぐ会を開催し、今後は旦那会だけでなく倅会・婿会・番頭会と展開していきます。更に、100年企業を地域ごとで集結し、それぞれの知恵を学び、活かしていくモデルを新潟で「新潟燈火会」というモデルケースを築き、日本全国へと展開していきます。

forum

最後に、伝承として、長寿企業の知恵を学び、自らも100年企業を目指していきたい、という想いを持つ企業を「NEXT100年会」として集結し、共に研鑽できる体制を築きたいです。また、個人として長寿企業の知恵を学びたい方々にも学びを提供し、更には長寿企業の発展を導く人材として長寿企業へ紹介できるようになりたいと考えています。

そのためにも、弊社メンバーだけでなく、アルビレックス新潟の熱狂的なサポーターのような存在が必要だと感じています。

池田:サッカー不毛の地だった新潟では、最初は無料でもスタジアムに足を運ぶ人は少なかった。茶髪の男の子達(当時の選手たち)のボール蹴りを観に行ってどうするのよ、みたいな(笑)観ても点数は入らない。0-0とかフラストレーションが溜まる試合ばかり。

そんなとき、「日韓ワールドカップの試合を新潟に誘致しよう」というプロモーションの目的で、アメリカワールドカップの準決勝を観に行った。ブラジルとスウェーデンの試合を見て、「スタジアムが満員だと、これほどまでに人は熱狂的に昇華するのか!」と身震いした。こんなイベントが新潟にきたらものすごく良い影響を与えるに違いないと、「新潟でワールドカップを開催する」と決心しました。

池田氏

更に、他チームの経営を研究していくと、バルセロナやマンチェスターUのように、熱狂的になれる可能性があると思えた。当時の日本では、鹿島のサポーターが物凄く熱狂的で、フロント体制も整っていた。強いチームを作ることは勿論、仕掛けのプロモーションは別軸で必要だと感じていました。

そこで、まずはアメリカワールドカップで体感した“熱狂”を新潟の人達にも届けたい一心で「満員のスタジアムを実現しよう」と、無料チケットで人を集めるだけでなく、商店街や学校と至るところに足を運び、「騙されたと思って、一回スタジアムに来て欲しい」と言い続けた。結果、満員となったものの、試合開始は皆シーンと観ていた。それでも、先制されて敗戦濃厚の中、土壇場で追いついて延長に入り、最後は負けたけれど、その時の盛り上がりは凄かったし、当日参加した32,000人が“熱狂”を体験したわけです。

そこから4年間、満員のスタジアムが続き、ホームでは負け知らず。まさに奇跡が起こった。特に新潟は試合後半に強かったから、もう毎試合熱狂だよね(笑)。自分自身がアメリカで本物の熱狂を体感して、それを「新潟の人たちに届けたい」とガムシャラになれたことで、無料チケットを配る時の想いや伝え方も変わったよね。

田中:その熱意は僕も負けないですね(笑)一度ご縁を頂戴してメディアを通して物語を一緒に遺す、もしくはフォーラム・同窓会等のイベントに参加頂いた長寿企業の皆さんには、池田さんがアメリカワールドカップで体験した身震いを体験頂けますし、更に体験した方々からより多くの人へと繋がっていくと確信しています。

地方創生から世界へ

池田:私は基本的には新潟で活躍する人、新潟から発足されるものをお手伝いしているが、それは「おらが町、おらが故郷」というのが根っこにあるから。その地元・故郷という長寿企業の根っこにある信念と知恵を遺し、日本各地の地方創生から世界へと展開していく、非常にグローバルなコンセプトを持っていたからこそ、田中さんを個人的に応援したく、一緒にやりましょうと共感できました。

これからアジアも都心一極集中していくと、日本と同じ問題(東京一極集中)が間違いなく出てくる。だから、地域に密着している企業がどう発展していくのか、ノウハウをどのように次の時代へ遺していけるか、それは物凄く大事であり、グローバルに発信することができる知恵でもある。日本が誇る長寿企業の知恵はヨーロッパだけでなく、世界でも、先駆的なものだから。

田中:まさに長寿企業の知恵を輪のように広げて、チエノワを世界の教育産業へと発展させ、チエノワサミットで世界中の長寿企業が満載する姿を池田さんに見せたいですよ!ワールドカップでの熱狂体験がアルビレックス新潟を築いたように、チエノワサミットを通じて、世界中の中小企業が100年を目指し、また100年以上の長寿企業は更に100年積み重ねていくように、時代や環境の変化に変革を続けていくキッカケ、目指すべきステージにしたいですね!

人それぞれに物語があるように、企業にも一社一社それぞれのものがたり、唯一無二のものがたりがあり、それを土台として支えることができる仕組みを築いていきます!

池田:株式を持っている、持っていないに関わらず日本の上場企業の約半分はファミリー企業。グローバル企業として大きく成長されている反面、そのグローバル企業を支えるのは地方の中小・中堅企業であり各地方からの売上や人材供給がベースである。だからこそ、“地方の中小・中堅企業や人々”のおかげで自分たちがグローバルで成長できるということを改めて感じていただければと思います。

地方創生には先程申し上げた「よそ者・馬鹿者・若者」に加え、支える「旦那」が必要であるからこそ日本の上場企業・大手企業の方々にも、興味関心を持って頂きたい。智慧の燈火プロジェクトは、地域の長寿企業や100年続く企業を目指す中小・中堅企業は勿論、大手企業の方々にも魅力的で、ご支援頂けるだけの価値ある取り組みだと確信しています。

智慧の燈火プロジェクトや田中さんを支援してくれる企業、または個人が一人でも多く増えてくれることを心より祈念しているし、そのためにも共にプロジェクトを推進していきましょう!

池田氏・田中氏

「偕楽園記碑」(かいらくえんきひ)

■池田氏の執務室に飾られている、現代に通じる教育のこころ「偕楽園記碑」(かいらくえんきひ)
江戸時代の水戸徳川家といえば、水戸黄門こと徳川光圀が有名で、人の人たる道を知るために学問(儒学)を奨励し、彰考館を設けて『大日本史』を編纂し、水戸学の基礎を築かれた。
その後、最後の将軍・徳川慶喜の父である水戸藩第9代藩主・徳川斉昭に偕楽園は造られ、「偕楽園記碑 (かいらくえんきのひ)」には、斉昭自らが記した文が刻まれ、 “一張一弛 (いっちょういっし) ” の精神、偕楽園設立の想いが綴られている。
「一張一弛とは、人の精気を弓に例えて、弓は弦を張ったままだとたわんで駄目になってしまうので張った後は必ず緩めなければならないというもの。」

時には厳格に、時には寛容に生きるべきという儒学の思想で、水戸藩の学問・教育方針の基本に据えられた。厳格に学問に励む場所が弘道館。藩主から武士、領民までみんなで楽しむ場所が偕楽園。封建的で、厳格さが重んじられていた江戸時代では、かなり開かれた、先見的な思想と取組みとして、現代に通じる教育のこころとされている。

※弘道館とは、近世日本の教育遺産群として日本遺産にも登録された藩校。「教育によって人心を安定させ、教育を基盤として国を興す」という建学の精神の下、弘道館は儒学教育を礎に文武を磨く教育機関として機能し、水戸学の発展と共に吉田松陰や西郷隆盛など多くの幕末の志士にも大きな影響を与えたといわれ、後に明治維新の原動力になる。

現存する日本最古の学校・足利学校跡(足利市)や、日本最大規模の私塾・咸宜園跡(日田市)、江戸時代の庶民教育を担い唯一国宝の講堂を擁する旧閑谷学校(備前市)と並ぶ近世日本の教育遺産群としてその価値を認められている。

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