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八王子市 100周年

東京都八王子市といえば、その地名をご存知でない方は全国に少ないと思われるが、東京都に在住していても八王子市に生活や仕事で関わりがある方を除くと、意外とどんなところなのかを知らない方が多いのではないだろうか。
人口58万人、東京都唯一の中核市八王子市が2017年に市制100周年を迎えた。

東京都の南西部に位置する八王子市は、東京都心から西方におよそ40㎞、高尾山をはじめとする山地や丘陵を源に発する多摩川に注ぐ浅川の流域が作った扇状地にひらける。戦国の時代から東西に走る甲州街道と川越や桐生、日光などの関東北西部と小田原、鎌倉などの南西・南東部を結ぶ街道の要衝とされ、現代もなお、都心から甲府を経て塩尻へと結ぶ国道20号(甲州街道)と、横浜から川越方面へと続く国道16号(東京環状)、青梅を経て甲府へ至る国道411号(滝山街道、青梅街道)が交差、また、JR中央本線と横浜線、八高線が交わるほか、京王線の始発駅もあるなど、東西南北に延びる道路、鉄道交通の交点となっている。

春秋時代の都「秦朝の首都咸陽」を彷彿させる「八王子市」

八王子市外風景

古くから人、物、情報の集積点として栄え、城下町から宿場町へと時代とともに変遷し、1917年(大正6年)、東京市(現東京23区)に次いで市制を施行、2015年(平成27年)に東京都で唯一の中核市に指定され、東京都の西の都といっても過言ではない歴史的歩みは、中国春秋史で秦朝の首都として栄えたまち「咸陽」の存在を彷彿させるものがある。

春秋戦国_地図

まだ東京(江戸)が中心でない時代、八王子市はその立地から戦国期には小田原を拠点にした北条氏や、その後統治した徳川氏は甲州口に向けた軍事拠点とし、また、江戸時代には八王子十五宿として街道最大の宿場町として栄えてきた。これが八王子市の礎といえる。明治時代には、かつてこの地を「桑都」と西行が歌にも伝えたとされる絹織物産業・養蚕業が日本産業の支えと成長した。中世から戦後の復興まで国や幕府の要衝とされ成長し続けた拠点である。

伝統を守り未来へ

多摩織

400年の歴史を誇る織物業は、八王子織物としてその伝統を承継。今もなお、国の伝統的工芸品に指定された多摩織と称され八王子文化のひとつとして、ものづくりの精神とともに次世代に受け継がれている。現在、八王子市にはオリンパス、カシオ計算機、コニカミノルタを代表とする多くの精密電子機器メーカーや大手製菓、食品メーカー、印刷会社など、ものづくりの企業が集結し、多摩ニュータウンの開発などと併せて、高度成長時代、バブル期を経てもなおも衰退することなく、昼夜変わることのない滞留人口を維持している。

これらの背景には深い山々を源に良質で豊富な水源や、古くから整備され続けてきた交通の要衝としての地位の確立だけではなく、永く先人が育んできた「ものづくりの精神」がしっかり根付き、そこで育まれた人間力が地域の原動力となっている根底といえるだろう。

八王子市は「人とひと、人と自然が響き合い、みんなで幸せを紡ぐまち八王子」を基本理念に、住みやすいまちづくりに向けた中心市街地の再整備や産業交流の拠点化など、未来に向けた都市構造の変革などを構想に、商工業・観光の振興、行政や関係機関、大学、市民との連携による地域経済活性化、さらに活力ある産業と特色のある地域文化を高度に融合させた美しい魅力溢れる新しい都市を作ろうと、「まち・ひと・しごと創生」を一体的にとらえたまちづくりを推進している。

百年の彩りを次の100年の輝きへ

八王子城跡

愛着 継承 創出

2017年に100周年を迎えた八王子市は、新たな100年の市勢発展を見据えた魅力ある八王子市の創造を目指して周年事業を実施。ふるさと八王子への愛着、次世代への継承、にぎわいの創出などを基本に、2016年春からプレ事業をスタートさせた。八王子ならではの「8」テーマを編成し、徐々に気運を高めながら2年がかりのスケールで官民、老若男女と全市をあげての意気揚々たる取り組みを展開、市内外に向けてその魅力をアピールしてきた。

市域を照らす「8」テーマ

周年事業の主役は地域を支える市民の存在第一に、理念・方針にも100年の歴史を創り上げてきた先人たちの功績を称え、まちの魅力を再認識して次世代に伝え活かそうと、全市の総力で未来につなごうと推進。市民生活と密接な「自然環境」「健康福祉」「産業振興」「安全安心」「生涯学習」「歴史伝統」「芸術文化」「スポレク」の8つテーマで編成し、120件以上のイベントを立案、市民の自主参画による市民提案事業23件が実施されるなど市民の声も大きく反映されていた。まさに「8」テーマが市民を照らし、官民あげて市域の隅々まで気運を拡げる石燈照国を呈していた。

八王子100年 応援団を結成

応援団発足式「八王子100年応援団」発足式

プレ事業では、市制100周年と記念事業のブランド力を高めるとともに、八王子市の魅力を広く発信しようと2016年7月12日には八王子市にゆかりある多数の著名人が八王子100年応援団を結成、発足式が催された。当日は八王子市在住で歌手の北島三郎さんを団長に北山たけしさん、水泳のオリンピアン田中雅美さん、八王子車人形五代目家元の西川古柳さん、元NHKエグゼクティブアナウンサーの山本浩さんらが応援団就任の決意を語り、また、副団長に就任したタレントのヒロミさんやAKB48の初代総監督を務めた高橋みなみさんなどから応援メッセージが贈られたほか、応援団とともに市制100周年をPRする八王子観光PR特使も同席するなど多くのエールで会場は盛りあがりを見せていた。

北条ゆかりの姉妹都市盟約

戦国時代に関東を治めていた北条氏一族のゆかりの地となる神奈川県小田原市と埼玉県寄居町と八王子市は市制100周年に併せて2016年10月1日に姉妹都市盟約を結んだ。2市1町のかつての城主は北条五代でも武勇の高い北条氏康の嫡男が報じており、小田原城は氏政、八王子城は氏照、寄居町の鉢形城は氏邦である。これらの縁が500年の歳月を経て再び新たな交流を生み発展につながることに期待を寄せている。

「8」ずくし、イベントずくし八王子

踊れ西八夏まつり
踊れ西八夏まつり

2017年4月からいよいよ市制100周年事業も本格的に幕を開けた。八王子市を代表するフラワーフェスティバル由木、八王子まつり、踊れ西八夏まつり、八王子いちょう祭りの四大祭りをはじめ各地区で開催されるイベント、市民主導のイベントなど120件を超えるイベントが途切れることなく、いつもどこかで催され、にぎわいでまちを大いに沸騰させた。

八王子まつり を知る ▶︎

「まなび」「むすび」「つなぐ」 ビジョンフォーラム

子どもミライフォーラム・明日へつなぐ

八王子はわたしたちがつくるまち

7月2日の健康福祉フォーラムを皮切りに11月までの間、「8」つのテーマでそれぞれビジョンフォーラムが開催された。これまでの100年の成果を「まなび(振り返り)」、次の100年の発展に向けたビジョンを「むすび(共有)」、次世代に八王子の夢と希望を「つなぐ(継承)」をコンセプトに、テーマごとに未来への提言を行うリレー形式のフォーラムとし、当日は著名人、見識者などをパネリストに迎え、未来を担う子どもたちも意見を出し合い、
次の100年のまちづくり
を語っていた
。「健康福祉フォーラム」では、落語家の立川らく朝師匠が「笑いで健康を」をテーマに健康落語を披露したほか、医師や専門家、市内の中学生などを交えたパネルディスカッションを行い、多くの笑顔が会場にあふれていた。

八王子
子どもミライフォーラム

ビジョンフォーラムの最後となった「子どもミライフォーラム・明日へつなぐ」が2018年2月4日に開催された。「8」つのフォーラムやワークショップで1年余りをかけて子どもたちが紡いできた意見をまとめ、未来の八王子のまちづくりについて「八王子はわたしたちがつくるまち」をくくりに子どもたち自身が「8」つの提言を発表してフィナーレを迎えた。

提  言

  • 健康福祉
    笑顔で「心」と「からだ」を
    ともに健康に
  • スポレク
    多様なスポーツの魅力に触れ、
    異なる世代の絆
  • 生涯学習
    生涯学びたいという意欲を
    育てる環境
  • 自然学習
    だれにでも長く使われる都市公園に
  • 産業振興
    交通、安全安心、サービスを軸に
    新たな八王子へ
  • 芸術文化
    取り入れよう、普段のくらしに
    楽しい芸術を
  • 安全安心
    地域と連携し、自分たちで守る
    八王子の安全
  • 歴史伝統
    未来へ活かそう
    ~それぞれの時代の八王子の魅力

自然豊かな八王子を象徴 第34回全国都市緑化はちおうじフェア

緑化フェア

「自然とまちと人を結ぶ『みどりの環境調和都市』 花とみどりでめぐる「彩り」と「輝き」…見て、学んで、感じよう、はちおうじ…」をテーマに、9月16日から10月15日まで、市制100周年記念の中心的事業「第34回全国都市緑化はちおうじフェア」が行なわれた。初日にはオープニングセレモニーの会場となったダイワハウススタジアム八王子のグランドに市の花イチョウを模った多数のコスモスの花で彩られ、航空自衛隊のブルーインパルスのアクロバット飛行が披露されるなど大勢の市民が詰めかけにぎわった。メイン会場となった富士森公園では9月20日に「平成29年度全国都市緑化祭」が行なわれ、式典には秋篠宮同妃両殿下が御臨席され記念植樹をなされた。そのほか市内6エリアのサテライト会場や100ヶ所を超えるスポット会場に市域全域が花や緑で彩られ、期間中、市民や旅行者など延べ約70万人が来場、季節の花の中で初秋のひと時をすごしていた。

先人をたたえ、次世代に

多摩ニュータウン

10月1日にはオリンパスホール八王子で市制施行100周年記念式典が開催された。式典では、記念表彰をはじめ、吹奏楽の演奏、八王子100年応援団のお祝いの言葉やビデオメッセージが披露された。会場には市民関係者など1,500人が来場し、市のさらなる発展に向けて新たな一歩を踏み出した。記念表彰では、特別顕彰として2名、特別表彰として5名・10団体が授与。特別顕彰を授与された八王子出身の医師肥沼信次博士はドイツ・ヴリーツェン市で伝染病治療に尽力し異国の地で生涯を閉じ、のちにヴリーツェン市の名誉市民の称号を贈呈されるなど今もなお現地の人々から敬われている。八王子市では市制100周年を記念して、2017年7月に肥沼博士ゆかりのヴリーツェン市と友好交流協定を締結しており、肥沼博士は没後も地元のために生き続けている。

式典当日はJR八王子駅南口でも様々な催しが行われ、江戸時代から地元に伝わる伝統文化・八王子車人形公演とストリートダンスの共演や八王子まつりの山車が駅前に集結し祭囃子の音色の響きとともに式典のムードを高潮させていた。

石森孝志八王子市長 対談 ▶︎

百年の彩りを 次の100年の輝きへ

八王子市
ふるさと八王子への愛着を深めるシンボルとした記念事業ロゴとキャッチフレーズ
空と山並み 夕日とまちのにぎわい 水と緑
豊かな色彩で八王子のまちの情景を描き、全体で「数字の100と漢字の百」、また、2つのまるで八王子の「8」を表現している。
全国に公募し、ロゴは361点、キャッチフレーズは1,752点の応募の中から選ばれたもの。

過去の歴史は漢字の「百」、未来は数字の「100」とするとともに、過去から新しい未来へのつながりを、それぞれ「彩り」「輝き」と表現している。

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