株式会社 山本海苔店
言魂 ~心に刻む言葉と想い~
父にバブルの時代ですかね、いろんな事があって、色んな事業をこれからは多角化の時代じゃないの?って思って。若い頃父にそういう話をしたら、「海苔屋だって…聞いてる?(貴大さんに)」
貴大:聞いてます。あ、僕ですね?
德治郎:(笑)海苔屋だって、100年以上やってて難しいのに、そんな新しい事をやって上手くいくはずがないから、やる事はもちろん悪くないけど、慎重にやりなさい」と言われたのと、「包装紙を今の緑の包装紙はもう古いんじゃないの?変えたほうが良いんじゃないの」と言った時に、あれを目印にお客様はみえてるんだから、変えるのはいいけど、それは慎重に…変えるなとは言わなかったけど、そこはよく考えてよくやりなさい」と。
この2つは会社関係で言えば、父に言われて非常に覚えていること。あとは、家の事で言えば、うちは2代、3代、4代、は婿養子なので。たまたま男の子がいなかったケースもあるし、長男が死んでるってケースもあるから。実は5代目で長男が継ぐというのは僕がはじめてなので、父は長男は早く死ぬみたいなことが何代も続いていたので、非常に僕については、ナーバスになってものすごく「気をつけろ」と「危険なことはするな」と、事ある毎に言ってたのはものすごく印象的に残ってますね。
当時は「ウルサイなわかってるよ」と思ってけど、後になって親父は僕のことを凄く心配してくれてたんだというのは、しみじみと思いますね。
~父から子へ届ける言葉~
德治郎:やはり「人に好かれていないとだめ」「謙虚でいろ」とは、そういうことはよく言ってますけどね。「俺ほど謙虚な男はいない!」とか言ってますけど、「本当かよ」っていつも思うんだけど(笑)。
貴大:謙虚自慢!(笑)
德治郎:人に上に立つって事は、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」っていうところもあるし。
僕大好きな三国志の劉備玄徳っているんですけど、「三顧之礼で諸葛孔明」を迎えたみたいにね、自分より優れた人を集める能力があったっていう、劉備みたいなのが大好きなんですけど。僕は目指しているというか、そういうのが理想のリーダー。だと思っているので、貴大にも基本的には、やり方はともかくとして、精神的にはそういうリーダーになってほしいな思って…言ってなかった?(貴大さんに)。
「三国志を読め」とは言ったね?
それはもうしっかり読んでますよ。
德治郎:へへへへ(笑)
貴大:しっかり読んでますよ。
~貴大からの言葉で印象に残っているものは?~
德治郎:さっきの銀行と山本海苔の違いというのはものすごく僕は嬉しかった。
うちの会社をそういう風に見てくれてるんだと。そういう会社でありたいと思ってたんで。それは外から来て、そんなことうちの会社以外の人はわからないわけじゃないですか。
だから外から来て、そういう事を言ってくれたのは、僕はものすごく嬉しかったですね。
いずれね社長になってもらいたいと思ってますし、その時は何年かは僕は後ろにいて、出来るだけ口はださないようにしようと思ってるけども、バックアップして、困った時とか、相談に来た時は後ろ盾にはなってあげたいなと思っていますし、やっぱり、会長が居る時は僕の経験からも、会長がいる時の社長と会長のいない時では、全く重さというか責任の重さっていうのはちがうので、困ったときは会長をうまくつかうとかね。「会長が首を縦に振りませんでした」とか「これは会長がやれって言いました」とか、そういう風にうまくつかうとか。相談相手として利用してくれれば良いなって思います。
ありがとうございます。
德治郎:でもね、テキトーに会社行ってテキトーに「給料ちょうだいね」とか言うとね、「働かない奴に金はやれない」とか言うんでしょうね。
貴大:そうです。
~父と子、社長と専務の関係~
德治郎:嬉しいですよね。うちの会社に入って一生懸命仕事してくれてるというのは見えてますから。それはものすごく嬉しいし。色んな話す機会も、プライベートで飯食ってたって、ちょっと会社の話しをするし、もちろん会社では、ほとんどっていうか100%仕事の話しかしないけれど。逆に寂しさはないですね。
貴大:僕も慣れましたけど、最初は敬語を使うのには苦労しましたよ。普通の事ですみません。
でも、周りの取締役とかから言われるのは、「頼むから家でやってくれ」みたいなこと。
僕が取締役会で社長にガンガン言っちゃったりすると、「それは頼むから家でやってくれ」って。それは確かにそう言われますよね。
それこそ例えば、「山田取締役もそう思いますよね?」と聞くと「いや答えられないから」とかって言って。親子喧嘩って…そう、それはもう家でやってくれって言われたことはありますね。
(敬語でって)徹してないよね。ちょっとゆるいね?
貴大:それはいかんですね。すみません。
德治郎:はははは(笑)僕も気をつけてるけどね。俺も専務って言うべきなんだろうね…。
貴大:そうですよ!貴大ってよんだらダメですよね。専務って言わないといけないですよね。そこですよね?「貴大」って呼んでるんですよ。
德治郎:「貴大いる?」って。
貴大:それダメですよ。たぶん。他の老舗さんてどうなんですかね?ファミリーカンパニーって。「おさむ」って呼んでるんですかね。
德治郎:どうなんだろうね。若い人が出ると専務って言うね。「専務いる?」って、電話で。
貴大:あー若い人が出ると。
德治郎:大体言うようにしてるよ、電話では。
貴大:それ以外ですと「お父さんいる?」ですからね。
德治郎:はははは(笑)
貴大:ありえないでしょ。「パパいる?」とかね。
それはもともと「パパ」で育って…。
今は「おやじ」?
貴大:おやじなんて言いませんよ。「パパいる?」で終わりましたよね?そのあとはもう…。
德治郎:社長とは呼ばないし。家族で飯食べる時。
貴大:「あのさー」とか、自分の事は「僕」になっちゃうから。あ!「德じいじ」ですね。
德治郎:はははは(笑)
貴大:德じいじですね。思い出しました。家族といる時は「德じいじ」と呼んでます。
続いてのテーマは「言魂」
心に刻む言葉と想い。
山本德治郎と山本貴大が家族や先代から受け取った言葉。
そこに隠された想いとは。