Story~長寿企業の知恵~ 「 NEXT100 」
←前のパート
次のパート→

宇津救命丸 株式会社
NEXT100 ~時代を超える術~

石田:

次の100年に向けて、変えるべきもの変えないもの、御社にとってコアになる部分を教えていただけますでしょうか?

宇津:

変えない部分としては、昔からある丸剤をずっと続けていきたいと思っています。少子化なので子供の薬ばかりではなかなか難しいところがあるので、今方向転換はいろいろ考えてはいるのですが、やっぱりいくら子どもの人口が少なくなっても子どもの健康を守る小児薬はつくり続けていきたいと思っています。

朝岡:

これから100年たつと宇津救命丸もまた新たなフィールドを広げている可能性が大きいと思うんですけど、その時の会社の後継者、リーダーに何か伝えておきたいこと、かけてあげたい言葉があったらお聞かせいただけますでしょうか。

宇津:

経営に対しては真摯に向き合えということですね。初代の人々の「貢献する」という精神を忘れずに、正直に経営してもらいたいと思います。

石田:

真摯な経営とは、具体的にどういったものを指すのでしょうか。

宇津:

本当に一例なんですけど、消費者から「救命丸買いたいのですけど売ってないんです。どこに売っていますか。」というお問合わせがある。うちは徹底的に調べてどこに売ってるか調べてお時間いただくんですけど、そのお店に連絡してこういう所に売ってますっていうケアしてるんですね。

これは私が経験したことなんですけどある企業さんに電話して聞いた所、非常に難しい答えが返ってきたり、冷たくされたりするんですけれども、やはり消費者にとってこれはいけないなということを実感したのでそういうところは消費者に合わせてやっていきたいなと思ってますね。

朝岡:

一人のお客さまでも正直に対応するということになるんでしょうね。それにしても400年を超える事業が続いているというのは、ご商売以外を見ても非常に珍しいことでもあるんですが、改めてこれだけ長く続いてきた宇津救命丸の大事なポイントっていうのはなんですかね。

宇津:

子どもに特化してきたていうのが一つのポイントだと思うんですけど、これが良いか悪いかは別の話でして。家庭薬っていうのは例えば心臓の薬のメーカーさん、喉薬のメーカーさんってあって、そのシェアはトップなんですけれどもそれが逆に他の分野にいく時に足かせになる。うちも子供の薬というイメージを持たれているので、なかなか他の商品を出す時に難しくなっている場合もあります。

朝岡:

良いところとちょっと勇気がいる所、これからどう100年続ける中で変えるのか変えないのかまた考えていく課題はあるってことですかね。

宇津:

それはもう息子に任せる時代に任せないといけないと思うんですけど、私ももうそろそろバトンタッチをしないといけないので、未来を見据えて方向性を決めて、それから交代をしたいと考えていますね。