Story~長寿企業の知恵~ 「 NEXT100 」
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株式会社 ういろう
NEXT100 ~時代を超える術~

ナレーション

最後のテーマは「NEXT100 時代を超える術」。
ういろうにとっての変革・核心を、外郎藤右衛門が語る。

外郎:

やはり先祖が託した想いをきちっと守り続けるという事ですね。そして、その為に、薬もお菓子も自分たちの目の行き届く範囲でしっかり手間と時間をかけて作るという事だと思います。
やっぱり身内でもそうなんですけど、社員でも、こうでなければならない、という言い方をするとやっぱり息苦しくなると思うんです。ただ、やっぱりその先輩の従業員だったり我々が経営者としてこだわる点は、所々で示すことによって、これは守らなければいけない、こうしなければいけないんだろうなって事を自分たちが受け止めてもらって行動してもらうことが大事なのかなと思いますね。
マニュアルを作るってことは簡単なんですけども、そうすると、そのマニュアルを守ってればいいってそういうことだけになってしまうと、そのマニュアルの通りにするとか、もしくは基準に合わせてやってしまえばいいということになってしまって、本質的なものを見失うことがありますので、やっぱりそこは、ものをしっかり作るというその現場の中でですね、若い人は学び、それを踏襲していってもらいたいと思いますし、私どもはそれを時には行動で示して理解をしてもらうようにやっていきたいと思います。

~ういろうの変革~
外郎:変えてもいい部分は何かというのは、その時の主が考えればいいことだと思います。というのは、その例えば100年と言わず、10年・20年でもその時の時代の流れは全く予測はできませんので、その時にきちんとさっきの先祖の想いを遺す為にどうしたらいいか、その時に場合によって胃は自らの身を切ることもあると思います。失うこともあると思います。
でも、存続する為にはそれはやむを得ないことだと思いますし、過去にもそうして自分たちの身を削って来たことも多々ありますから。ただ、それを今から、これはいいよ、これはダメだよということではなくて、その時の主が判断をしてやることかなと思います。

~後継者への想い~
多分老舗の経営者はみなさんね、後継者をどう育てていくのかということなんだと思います。私の長男も今社会人になりましたけど、僕は・・・身内、近いものがあまりこう育てるっていうことは難しいのかなって思っていて、養うことは出来るんですけど、子どもって養うことは出来るんですけど、本当にその人を育てるのっていうのは、実は周囲の人。周囲にどれだけいい環境があるかかなと僕は思うので、まぁそういうこともあって、外に今働きに出させてますけども。
そういうこう場所を提供してあげるっていうのがまずはありますね。後継者の為にそういう場を提供するチャンスを与える。色んなところで修行をさせる。
それから従業員の人たちが、我々にとってみると家族と同様の大切な仲間なので、彼らの働きやすい環境であったり、もしくはやり甲斐のあるそういう場を作ることによって、社内のその団結力であったり、まぁ会社っていうのは人の集合体でしかないので、それぞれのベクトルが一つの方向に向かうようなそういうこと、それが例えば地域貢献活動であると。そうすることでボランティア活動を含めてすることで、毎日一生懸命ものをつくってるだけでなくて、直接感謝の言葉をいただけるようなその場をね、受けられる場所を作っとく。まぁそういうのもいいのかなと思いますね。

高校から大学に進路を決める時には、最初に言ったのは、「自分で好きな人生を選んでいい」って言いました。薬剤師にならねばならないってことは一言もいませんでした。
さっきの話ですが、「こうでなければいけない」って言った途端にやっぱり人間窮屈になりますし、それが身内の人間から特に親子の中で言えば、時には反発したりとか甘えが起きたりとか、人に言われて、薬学とか大変なやっぱり6年間なので、そういう時に理由をつけさせてしまうことになるんです。自分で選んだ道だったらば、僕は自分で大学に行ってやっぱ感じましたけど、これは大変だな、若い学生さんよくこれやってるなと思いましたね。これを自分の子どもたちにも、うちは薬局なんだから目指さなきゃだめだぞと、行けと言っていかせるのと、自分が選んで行くのでは全然違うなと思ったので。
そういうところを本当に自分でまず選ばせて、で、薬学に行ったので、まぁそこで暗黙の了解と言いますか、あ、こいつはちゃんとうちの次をこう自分で継ぎたいだなとわかりましたし、我々としてもそれをちゃんと意を汲んでね、親として出来ることは、次の代に渡す時にその代が困らないように、きちっと基本的なベースをね、ちゃんと作っといてあげる、経営を安定させとく。まぁ今でも安定はしてますけどね。それから、変なことに欲に手を出して傾けさしとくんじゃんくて、ちゃんとこの家を継ぎたい、継いでみたいと思わせるようにちゃんと環境を整えてあげとく。
それが場合によっては地域との関係性でもあるんですよね。地域の人が大事に思ってる家であったり会社であれば、それを経営したいと思うだろうし、それが地域からあまり縁がないと、そういう気持ちにならないかもしれないと。

~長寿経営を行う上で大切なもの~
そうですね。私が思うのは、創業者の想いだったり、自分たちがコアとして、創業始めた時一番いいと思いますけど、コアの業務をしっかり守るということを、まず芯をねしっかり持つということが大事なのかなと思いますね。
そこから、まぁ少し派生的にサイドビジネスをするとかそういうことはいいと思いますけども、段々今度、時代の流れに合わせて、サイドビジネスの方が利益が上がるということで、サイドビジネスにこうシフトしていく。まぁそれも勿論、正解であったり大切なことだと思うんですけども、コアを失ってしまうと、継続性という観点で希薄になる可能性はあるので、そうすると分社化しちゃったりとか、全く業種が違うので、次の代を受ける人間が、じゃあ自分のやりたいことを一からやりたいという気持ちになるかもしれない。同族でその経営をされていく、それをずっと長く続けるということがもしも根底にあるんであれば、そういうコアをどうもっていくか。 それから、私どもが今こう非常に有難いのが、文化的な繋がりが、例えば京都の祇園祭であったり、歌舞伎の世界であったり、そういう文化的な繋がりがありまして、それはやはり長く続いているものなので、そういうとこと一緒に合わせてね、自分たちも歴史を重ねていこうという、そういう一つの道しるべだったり、一緒にこう同走するね、そういう繋がりのあるもの、こういうのをもしも持てるとすごく継続には繋がるんじゃないかなと思います。

ナレーション

ういろう25代目外郎藤右衛門が次代へ届ける長寿企業の知恵。
先祖が託した想いをしっかりと受け取り、薬もお菓子も時間と手間を掛け作る。
地域や文化の繋がりとともに、歴史を歩み、想いを伝え続けていく。

この想いは100年先の後継者に受け継がれていく。