株式会社 トーダン
伝燈 ~受け継がれる伝統~
ここで強口社長のコレクションでもあるカレンダーの歴史を伺ってみたいと思います。
石田:こちらもカレンダーだったんですね。こちらは江戸時代のものですか?
強口:はい。そうですね。江戸時代は引札っていうのがありましてね、商店が主にお客様に配るという、今でいう新聞のチラシみたいな、ただ新聞はなかったので、来店されたお客様に差し上げていたんですね。ここにもなんとか問屋って書いてありますけど、名前が入っている名入れのカレンダー。
石田:大だったり、小だったり…
強口:ここに二百十日間ってでてるんですよね。
石田:二百十日間!?どういうことですか?
強口:台風が来るとか、二百十日気をつけましょう。梅雨時の梅雨とかですね。そういったものが出ていて、これがもうカレンダーなんですね。
それから明治に入ってくると、暦月引札っていう、まさに番付表みたいな。これは金物屋さんであったり、お酒屋さんであったりですね、こういうものをかけて使ってらっしゃる。
それがですね大正になるともうちょっと彩りが賑やかになってきたり、印刷技術も進化してきてですねよくなってくる。
でもこの番付みたいなのは変わらないんですね。
強口:変わらないですね。ただこれにいい方位とか悪い方位とかがここでわかるようになっていて、今年の恵方巻きの恵方はどこだとかいうのがわかるようになっている。昭和になってくると、今のようなスタイルのカレンダーになってくる。
石田:わ!本当ですね。今度は絵がメインになってこちらに…
強口:そうですね。ちゃんとした今になじみのあるカレンダーになっている。これなんかは輸出用に作っていたカレンダーらしいんですけれど、こういうようなですね。
石田:英語で書かれているんですね。
強口:そうですね。
石田:そして1903年に日めくりカレンダーが登場するんですね。
強口:はい。明治36年。当社の創業した年なんですけれども。
石田:同じ年に?
強口:大阪でこのカレンダーは生まれました。当時は引札が全盛だったんですけど、これが現れる事によってですね昭和10年から15年くらいにまでにはこちらのカレンダーが姿を消す。そしてこの日めくりカレンダーが全盛期を迎える。最盛期は2800万冊くらい作られたといわれる。
石田:2800万冊ですか!?
強口:戦争が1945年に終わって5年ぐらいするとですね、こういう(月表)今の馴染みあるカレンダーが出てくる。 平成になってですねだんだんこのカレンダーが逆に減少していって、卓上カレンダーの時代になっていくんですね。
石田:ちなみに今はどれが一番使われているんでしょうか?
強口:まだ7、8割はこちら(月表)のカレンダーだと思います。まだ2、3割がこちらのカレンダー(卓上)。これがなぜかっていうと、1945年にパソコンが普及してきて、パソコンの横で使うというようなことでこういう(卓上)カレンダーが便利だと。ライフスタイルとか生活様式の違いでだんだんカレンダーも変わっていくっていう事なんですね。
石田:カレンダーの歴史でライフスタイルの移り変わりを見せていただいた感じですね。
続いてのテーマは受け継がれる伝統。今回はカレンダーの歴史について、当時の時代背景と共に、強口邦雄に語ってもらう。