Story ~長寿企業の知恵~ 「 言魂 」
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帝国インキ製造 株式会社
言魂 ~心に刻む言葉と想い~

ナレーション

心に刻む、言葉と想い、強い想いと信念が込められた言葉には魂が宿り、一人の人間の人生に大きな影響を与える…

石田:

ところで、澤登さんが普段心に留めてらっしゃる言葉というのはございますか?

澤登:

はい、先程お話しした「何かを得たければ、何かを捨てろ」ってのもそうですし、あとは、「他人の痛みを知れ」って、1回だけ父親に言われたことがありますね、会長に言われたことが。それは心に留めていることです。

あとは、あまり先代の会長は、こうものを語る人ではなくて、印象的に覚えてる姿があるんですね。先代の会長、まぁ私の祖父の家に遊びに行った時に、庭の木がすごいたくさんあるんですね、行くと必ず彼は庭の木の手入れをしてたんですね。で、今の会長からも「木は大事にしろ」とか、やたら口うるさく言われるんです。

中学・高校の時、何であんなのがって、何を言ってるんだこの人はって思ってたんですけど、実際、帝国、当社に入ってあちらこちらの拠点を見てみると木とか緑がたくさんあるんですね。

山梨工場には、畑もありますし、まぁ大根作ってお客さんにお配りしたりもしてるんですけども(笑)、だからそういうのを見てると、当社環境を大事にしようっていう活動もしてるんですけども、何かそういうのと結びついてくるんですよね。

単純にものを作って世の中に出していけばいいってことではなくて、やっぱり我々のいる環境・自然っていうのを大事にしながらやっていくっていうところ。ケミカルを扱ってるんで、尚更そういうのを大事にしなければならないっていうことで、やっぱりそこと結びついてくるので、先代が庭木をいじってた姿と会長からの「木を大事にしろ」と口うるさく言われたこと。

そして今、当社の中にそういった緑がいっぱいあることっていうのは、言葉ではないんですけど、姿として大事に焼き付いてることですね。

石田:

他にもございますか?それはもう企業理念になるのかもしれませんけども。

澤登:

そういう意味ではそうですね、今お話したこと以外ですとやっぱり「企業理念信条私達の誓い」ということが、私にとって大切な言葉ですね。

朝岡:

まぁ、企業理念というとね、ちょっと固いイメージがあってね、何か御題目っていうようなことにとられ兼ねないんですけど、それがでもやっぱり大事なんだと今はお考えになってるんようにね。

その大事さを感じるようになったってもの、社長になったあたりからですか?それともかなり前からそういうのは大事だな理念っていうのは?

澤登:

私、当社に入って、1年ぐらい社内で研修して、研修と平行して中国の工場の立ち上げをやってこいってことで上海に送られたんですね。で、その時は、工場を立ち上げるってうことで、土地を決めて、建築屋を選んで、まぁたてやを建ててくっていう、そして機械設備を入れてくってことをやって、お客さんのところへ行って、工場できますからお使い下さいって。

ただ、その時に、単純に建物を作るとか、お客様を訪問するっていうだけではなくて、やっぱり、当社っていったい何伝えるためには、「企業理念、信条、私達の誓い」っていう、お客さんに対して仕事をやっていこう、お客さんに向かって仕事をしていこうって言うことが重要で。

それをお客さんに向けて、まあ足りないんですけど、行動していくと。そしたらお客さんも分かってくれるんですね、そのときにやっぱり「企業理念、信条、私達の誓い」っていうものが大事なもだなというのを、少しかもしれないですけど、実感することが出来ました。

朝岡:

海外だと特にそれを感じるかもしれませんね、普通に日本語でコミュニケーションし辛いところがありますから、わかりやすいもので伝える、っていう意味ではね。

澤登:

行動していく。そうですね、言葉で伝え、行動する、っていうところが大事でしたね。

朝岡:

先代から澤登家になってから3代目ということですけど、先代から受け継がれているものとか、あるいは実際にこれ大事にしてね、っていうものは何かあったりしますか?

澤登:

まだ会長が元気ですので、先代から彼に渡したものは彼のところで止まってますので、何があるのかっているのは、イマイチ分からないところはあります。ただ、一部分受け継いだもので、大事なものとしては、ものではないんですけども、当社の株式っていうのは大事だな、と思っています。

というのは、今回、当社に何があるのかなっていうことで、社内色々見てみたんです。

すると古い看板であったり、昔のものっていうのは色々あったんですけど、ただそれって、例えば、嫌なことですけど、火事だったりとかあれば消失してしまいますし、泥棒が入れば無くなってしまうものなので。

そういった物ではなくて、我々が受け継いでいるものは、帝国インキとしての精神というか伝統であったりというもので、それを受け継いでいくためには、当社は株式会社ですから、株式というものは、面々と継いでいくことが、当社の伝統を引き継ぐことだと、私は思っていますので、株式というものを今、あえて自分の大事なものとしています。

朝岡:

それはやっぱり資本という意味でもね、その資本をきちっと経営のリーダーがある程度キープしているというのは、安定経営の意味でも大事なものかもしれませんね。

まだ2年ですからね、色々探るようなところもあったりしますけど、一日スタートさせるときに、これは験担ぎでやっているとか、そういうことは特にありますか?無いですか?

澤登:

験担ぎは特にないんですけども、験担ぎしないことが、験担ぎかな、って。気にし出すと、ものすごく気にしそうな気がするので、あえて気にしないようにしていますね。