墨田川造船 株式会社
NEXT100 ~時代を超える術~
最後に次の100年に向けて変えるべきもの、または変えないもの、会社にとってコアになる部分を教えていただけますか?
石渡:基本的にもっと地域の人にもっと造船というものを知ってもらいたい。
東京というのは造船に対してあまり理解がない地域で。それこそ瀬戸内や九州の方行くと、街自体が造船になっているんですけど、我が社が今あるのは住宅地のど真ん中でございますんで。
もう少し造船としての魅力を地域に伝えて、もっと造船に携わってる人間を育てたいなと思っていますね。
やっぱりその辺が大事で、会社だけ、あるいは船だけ有名なだけじゃダメで、裾野が地域を中心に広がると企業としてもずいぶん変わるんでしょうね。
石渡:一般の人からしたら、船を造るという会社は多分同じでしょうから、その中でうちの魅力というものをもっともっと出していきたいですね。
朝岡:なかなか船を造るという仕事はキツいことも多いでしょうから、そこに対する理解とか、もっと言うと憧れというか、船を造りたいと思わせるように若い世代にどう繋げていくか、これからの百年を考えたら大事なことかもしれませんね。
石渡:今我々が持っている経験値とかデータを大切に活かしてほしいなと。
時代によってニーズというのはいろいろ変わってくると思いますけど、根底にあるものは一本筋が通ったものだとだと思いますので。そこに積み重なってる経験を全部捨てないで、経験は経験として持って、それをもとに新しいものを見据えてほしいなと。
石渡さんご自身の今後の目標を教えて頂けますか?
石渡:後継者を育てる。
社長になったばかりなので、これから後継者を育てるというのがひとつあると思います。あとはとにかく個人的には没頭できることを何かやりたいですね。
自宅の前に船が停まってて、車とオートバイがすぐ乗れるような環境で、常に何かいじくっていたいなと。
昔はミュージシャンを志した時期もあったのに、船とか車とかオートバイとかがそばにいて、我を忘れて没頭したいというのは、やはり機械愛ですね。メカニック愛。
石田:一本筋が通ってるというのはまさにこういうことを言うんだなと思いましたし、先ほどから何度も、幾度も危機があっても船を造り続けるというのを繰り返してらっしゃって。
オートバイもお好きなんでしょうけど、これから先もやはり船への愛というのをこれから百年先も受け継がれるんだろうなと確信しました。
「NEXT100年」〜時代を超える術〜。革新を続け、100年先にも継承すべき核となるものとはいったい。長い歴史と共に先代達が綴り、時代を超えて語り継がれてきた墨田川造船の物語。100年先の伝承者へ、石渡秀雄が次代へ届ける長寿企業の知恵とは。