株式会社 大川硝子工業所
言魂 ~心に刻む言葉と想い~
続いては言魂ということで、先代や祖父母から言われた印象的な言葉そこに隠された思いを伺ってい行きたいと思います。
大川:父か母だったか記憶は定かで無いんですけどこのまま継いでほしいということで継いだんですけれども、ある時「硝子業にこだわらなくても構わない」と言われたような気がするんです。別のことでも良いけど今ある「この土地で仕事を継続してもらえたら良いな」という旨は言われたことがあって。
家業を継いで100年くらいの企業になると伝統みたいなところがくっついてきて、重圧(伝統)に負けてしまう部分もあると思うんですけど、その一言が今ある土地・今ある会社が違うものに変わってしまう方が先代の人は悲しいんじゃないのかなと思う。
その場所で新しい事業でもなんでも続いていく方が大事なんだよと言うことを言いたかったんじゃないかなと思って、その言葉で少し自分も楽になって少し前向きに仕事に取り組めるようになったなと思いますね。
実は私今4ヶ月の娘がいるんですけど、哺乳便はプラスチックではなく絶対「びん」なんです。安心して使えるのもあるし煮沸もできて清潔感がありますので、便の良さをぜひこれからも引き継いでいただきたいと思いますし。
大川:海外だとプラスチック容器とびんの容器は上手に棲み分けできているんですね。日本もいずれそういう時代が来るんじゃないかと思ってて、そういう時にいつでも迅速に対応ができるように準備はしていたいと思っている。
朝岡:いろんな対応をするって意味では、今までの対応じゃない対応なんかもお取りになると伺ったんですけどね。
大川:去年くらいに個人のお客様からメールでお問合わせが来て、近々結婚するけどオリジナルの硝子の写真立てを引き出物として用意したい、それに江戸切子を施したものを用意したいと。江戸切子の職人は自分のところで知り合いがいるので大丈夫なんですけど、切子を入れる前のプレーンの硝子の写真立てがどこを探してもないので、1から作りたいのでそういう製造をお願いできますか?という話が来たんですね。
全然びんじゃないのですが、硝子ということに変わりはないので製法としては色々ありますから、びんというのは手吹きという方法、機械で作る方法、その間に半人工で作る方法といってたい焼きの型を使って作るような硝子の製法もあるんですね。
その製法だとロット数も少なくできて希望の形が作りやすく、近隣に硝子の町工場があるので、協力して依頼を受けて無事引き出物として使っていただいて。
後々その方から手紙を頂いて、お礼の手紙が来たんですけれども実は10社ぐらい問い合わせたけど全部断られたけど、最後、大川硝子さんだけが引き受けてくれて今回形にできて本当に有難うございますと手書きの手紙をくれたんです。ほんとにいい事したなと言う思いになりましたね。
「言魂」心に刻む、言葉と想い。先代家族から受け取った言葉そして現在自らが胸に刻む言葉とは。