株式会社 明電舎
言魂 ~心に刻む言葉と想い~
続いては言魂ということで、先代や祖父母から言われた印象的な言葉、そこに隠された思いをお伺いできますか。
稲村:会社に入って重電、強電、高い電圧大きな電流の仕事をしようと入ってきたのに、とても小さなと言うか浄水務という小さな仕事に関わって、その時の上司がいて、今非常に感謝しておりますけれども、「お前本当にそう思っているんなら一度やってみろや」て「やってみたらどうなるかわかるからやってみたら?」という人だったんですね。だから技術的に色んなディスカッションしても、私もこれで絶対うまくいくというものを作っているわけですからその上司は「それじゃうまくいかないよな」とわかっていても「ほんとにそう思うならお前一度やってみな」っていってくれる上司だったんです。
ものの見事失敗はしますけれど、失敗したという経験で、ああ!これはこうだったんだ!ということがですね非常に何遍も経験させていただいて、多分その上司は失敗させながら私のことを育ててくれたんだというふうに非常に感謝をしております。
それはあれですか?稲村さんの部下、そういう人が昔の自分のタイプの人がいたときもそういう感じで(上司のように)おやりになったこともあるんですか。
稲村:個人的には指導したことはないんですけれども、ただ、その時の経験で失敗を恐れるなということはですね、失敗は授業料だと言うことで部下には話してきました。
ですけどそれでも企業ですから、失敗をしてね非常に大きなお金がかかったということもあるわけです。ですから同じ失敗は絶対するな、新しいことをやって失敗したらそれは授業料として考えよう。というこで部下は指導してきました。
私共の重宗芳水も最初外国のモーターの修理をやって、これを自分たちでも作ろうとしたんですけれども、コピーで作ったらとんでもないことになって、回るモーターができなかったんで修理に走り回ったという記録が残ってますけれども、そういう失敗から新しい設計なりきちんと品質の保証されたものを作るという技術をこれを学んできたと思っておりますので、創業者の意思が生きてるのかなという気はします。
今現在会長自身が心に刻んでらっしゃる言葉というのはりますか。
稲村:私がいろんな失敗を繰り返しながら来た時に「答えは必ずあるんだ」というね、今はわからない、今はいろんなことを考えて色んな施策をしないとわからないけれども、答えは必ずある。そりゃそうですよね。理論的な世界ですから、答えはかならずある。場合によっては、答えがないことが答えかも知れないいうことも現実にはあったんですけれども。答えは必ずある!そこに行こう!というのが私がずっと仕事をしてきたときの思いですし、それは部下にも言ってます。何か壁にぶち当たったときでも乗り越えられる道はあるんだという事はよく言ってます。
それともう一つは、小さい頃から「正々堂々」という言葉は好きだったんです。私は色んなスポーツもやってきましたし、そういうルールの中でキチンとルールを守ってやるということ、自分自身も小さい頃から好きです。ですから、会社に入っても守るべきものは守れ!とやるべきことはやれ、やってはいけないことは絶対やるなというのは、私の思いで従業員にも機会あるごとに繰り返しい繰り返し言ってきましたね。
ですから、もちろん日本には法律があります。会社の中にはルールがあります。それから世の中にはには常識もありますよね。それを守っていかなければ会社も世の中も回っていかない。ですから会社のルールなんかは時代とともに変わってくる。常識もそうですけど、これは違うよねだから僕はこうやったんだよっていうのは私は許しませんでした。ルールを変えてからやろうよ、私はずーっとやってきてそういうスタンスですね。正々堂々と仕事をやろうよね、そういう思いが非常に強かったですね。
ちなみに会長の趣味が山登りと伺ったんですけれども、その山登りのお仕事に活かされてたりしますか。
稲村:私はもう50年以上前から山に登っているんですけれども、山って歩かないと目的地につかないんですよ。疲れてもどんな暴風雨にあっても一歩前に踏み出さないとそこに着かない。ゆっくりでもいい、着実に一歩一歩前に進むことこれが山登りには大切なんです。
ただそう言いながらも立ち止まって景色を見たり、花を見たり、そして振り返って今歩いてきた道を見たり、するということも非常に大事なことで、会社の場面でもがむしゃらに前に進むことも大切な時もありますけれど、一度立ち止まって振り返って自分の踏んできた足跡を見て、この道間違ってなかったよな、あるいは右と左に別れた道がどっちの道が正しいのかこれは山で学ぶことが仕事に生きてる部分ってのがあると私は思っています。
ちょっと立ち止まってみてからにして一寸先を除くみたいなね。
稲村:ただ歩かないと、一歩前へでないと目的地にはまったく近づけない。
石田:山登りを人生そのものに例えられますね。
稲村:すみません、ちょっと偉そうでしたけれども。
朝岡:いやいやいや。
続いてのテーマは「言魂」
心に刻む、言葉と想い、強い想いと信念が込められた言葉には魂が宿り、人の人生に大きな影響を与える。
現在、会長を務める稲村純三が上司や先代から告げられた言葉の裏に隠された想いに迫る。