合資会社 一條旅舘
NEXT100 ~時代を超える術~
これはまさしく私共の木造本館、只今現在国の登録有形文化財に指定をされているこの木造を遺すこと。そのためには維持・管理、丁寧に使い続けることこれが何よりだと私は思っております。
建物だけではなくて今私共に評価をしていただいている接客サービス、料理の質、そういった“人の関わるもの”そういったものをずっと維持していくこと。そしてましてや時代に合わせたサービスマン、サービススタッフを育てていくことを課せられている、宿題だと思っております。
~次代を担う後継者へ~
世は無常であるというように思っております。無常というのは常に同じではないという意味の無常です。世の中ってグラデーションで変わっていると思うんですね、私は。携帯電話もだんだんだんだん変わってきました。携帯電話から今はスマートフォンに変わりました。
そして、私たちの着ているものも、少しずつ変わってきました。世の中の建物さえも変わってきました。すこーしずつすこーしずつグラデーションで変わってきている。
なので、世の中の変わり目、「あ、なんか違くなってきた」という情報であるとか、肌で感じるものに敏感になってもらいたいという風に思っています。
そしてもう一つは「陽極まれば陰となり、陰極まれば陽となる」という言葉があります。要は「良いことばっかりはありませんよ」ということです。落ちることもあります。もちろん陰、悪いことばかりでもありません。必ず上がってきます。要はこれも無常と同じですよね。
常に一緒じゃない。常に動いている。だとしたら良いときほど悪くならないようにあぐらをかくことなく良いときほど真剣にやらなきゃいけないし、注意力を持たなくてはいけない。
じゃあ悪い時にジタバタせずにデーンと構えて少し何もしないくらいの余裕をもった、そういった経営者、もしくは後継者そういったものをなってもらいたいなあと言う風に思っております。
一條家は男子が跡を取るものだと家訓の中でずーっと脈々と繋がれてきていることであります。私もよって長男である、男一人しかおりませんでしたので、私が後を継ぎました。
これからの時代どうなるかわかりません。息子、私もおります。息子も経営者になるという意識はあるようです。私は無理強いをして旅館を継げと言うようなことはしません。やりたくなればやればいい。やりたくなかったら別の仕事を探すのも良い。私はそう思っています。
じゃあその時に、湯主一條をどうするのかということがありますが、今現在は私は答えを見出せておりません。適切な時に適切な場所でその答えが見つかるものだと思っておりますので、そのあたりはこれからもしっかりと見ながら、そして息子を将来世界に通用するような人間になるように育てていきたいなという風に思っております。
~長寿経営を行う上で一番大切なもの~
やっぱり地域に対しての愛情なんでしょうね。自分が生まれ育った所に私は戻ってきました。そこに愛情がなかったら戻らないですし、そこに愛情がなかったら会社を続けていこうとも思わない。会社に対しての愛情は誰しもがあると思いますが、じゃあそこで一人でやっているわけではないので、それが自分の愛せる地域なのかどうか、ここは大きなポイントだと私は思います。たとえそれが偏僻なところであっても大変便利なところであったとしてもそこに愛情があれば、何かしらの打開策というのは絶対に見つかるはずなので。私はそう思います。
私はこういう接客サービス業という形になりますので、私が思う中は社長自らがトップ自らがプロフェッショナルでない限りそこを守り切ることはできないと思っております。そうでなければなぜそこで生まれ育って社長になろうと思ったのか、戻ってきてやろうと思ったのか、理由付けに私はならないと思います。
よってこれは接客サービス業ということになるのかもしれませんが、その道のプロフェッショナルになるということが、何よりの長く続けられる企業、会社、地域というものにつながっていくんじゃないかなあと私は思います。
時音の宿・湯主一條
20代目 一條一平が
次代へ届ける長寿企業の知恵…。
その道のプロフェッショナルであること
トップ自らがその道のプロフェッショナルでない限り
会社・社員・地域を守ることはできない
この想いは100年先の後継者へ受け継がれていく・・・
NEXT100、時代を超える術。
100年先にも変わらない「湯主一條」にとって核。
そして、未来を見据え、変える必要のあるもの。
20代目 湯主一平が語る。