Story~長寿企業の知恵~ 「 NEXT100 」
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株式会社 平凡社
NEXT100 ~時代を超える術~

ナレーション

NEXT100、時代を越える術。
革新続け100年先にも継承すべき核となるもの。
平凡社6代目下中美都が語る次代へ届ける長寿企業が持つ知恵とは。

下中:

私ね、やっぱり、紙の本っていうのは、さき程、電子も便利とか、その色々な…例えばコミックとかラブストーリーは電子でもバンバン読みたいわよねとか色々なんです。やっぱり紙の本で、自分で読んで、自分で考える。自分の頭で考えるという、そういう心に一番ゆっくり届く言葉を編集したこの紙の本というもの。これはやっぱりコアになると思います。

色々、あの色々作りますけど、何で紙の本が良いかって言うと、やっぱり、本は人なんですよ。
で、本を読むとその人、朝岡さんの本を読んだら朝岡さんに会ったみたいに思うわよね。本は人で、人の心の容れ物として紙の本は最上のものです。そういうやり取りをして読める物です。真空の気持ちで読むし、だから、人の心が入っている。
それから、知恵の容れ物としてやはりこれは最上のものだと。これ以上のものはないと思います。知恵の容れ物っていうことでも必要です。
それから、手渡せるじゃないですか。知恵を。勿論、電子も勿論良いんですけど、手渡せて、この知恵っていう人類で一番宝ですよね。だって、建築だってお花だって何だって無くなりますけど、知恵がもし伝承できたら、それ以上に良いものってなくて、それがちょうど良くこれくらいのものに編集して、それを石田さんにあげられるとか、そういうのって紙の本以外にないかなと思います。
勿論、この紙の本で編集したもの、電子でまたってこともありますけど、だから、コアはやっぱり書籍だと思っています。

朝岡:

紙の本はずっと100年先まで。ちゃんとあるという。

下中:

そうですね。紙の本は500年ですから。グーテンベルクから。

朝岡:

あぁー!そうですね。

下中:

で、工夫されてるんですよ。読みやすく、丁度良く、編集も起承転結、ちょうど良く盛り過ぎないでとかね。だから、そういう実績はあります。
勿論、その部分的に電子で読んだりとかすごい多様な読書。多様なライフスタイルの中で、読書は変わってきますけど、その中で紙の本の良いものを最後まで作っていく出版社でありたいと思っています。
で、これは電子がどうっていうんじゃないんです。選択肢の中でやっぱり良いものを作らないと遺らないんですよね。
紙の本が云々って、紙の本が売れなくて大変なんだってねってよく言われるようになったんですよ。それは2010年の電子書籍元年の時に。で、紙の本が無くなるなんて誰も思わないんだけれども、それが、ニュースで伝わって、出版社大変なんだってねって、全然知らない業界の人に言われて、でもそれは、それでもやっぱり、本という色んな形があるけど、良いものを作っていくのが私の使命だと思っています。

石田:

先程、編集者の方に女性が多いって仰ってまして、あれ、根気強さという女性のそういう特性が活かされる現場って仰ってたんですけれども、これから先ですね、出版業界において、女性の知恵だったり、そういうパワーっていうのがより必要になるとお考えでしょうか?

下中:

変えるもの、変えないものということで言えば、変えるものの一つに、女性が経営に入って行くと良いとこれは信じています。
なぜかというと、私は長年会議で長年紅一点でした。勿論、平凡社はマッチョな人いませんから、私を疎外するような人はいないんですけども、でもやっぱりちょっとね、考え方っていうか着眼点が違うんですね。ですから、私がこうしたら良いのにって言っても、男性陣はわからないんですね。それは、やっぱり男性の同調圧力もあるかもしれませんね。
それから、そういう意味では、女性の意見。私はもう経営に入って15年経ってるんですけど、私の意見あんまり、あんまり通ってきていないんですよ。それは、私の問題かもしれない、もっと自身をもって言えば良かったと思うんです。今でも社長になって、言いたいこと言ってますけど、っていうことは、今社長になって私が一番良いと思っていることは、人が私の話を真剣に聞いてくれるようになったんです。これは、私一生懸命考えて、毎日考えてますから、人が聞いてくれて、会社が少しでも良くなるように活かしてくれることすごく有り難いと思っているんです。
でもそれは多分、私が社長になったから、社長にならないと話が聞かれないのかってことないんですけど、多分女性の感性っていうのは、もっとこれから変えて行かなくちゃなんないってところでいえば、これから大変変化の激しい時代に入りますよね。で、読書も変わえるでしょうし、その中で、女性は衣食住。着るものだって、今日素敵な服を着てらっしゃいますけど、今日これを着るっていうそういう感性。それから、今日は暑いからあれを飲みたいなとか。まぁ、衣食住に関して、女性はすごくこだわって生きているんですね。生きるセンスにこだわってる時って、男性がこだわらないって言ってるんじゃないんですよ!(笑)でも、男性はそこまでこだわらないっていうか、感覚的に。そういうことっていうのをこれから作る。つまり、生きていく為の生きていくセンスを本にしていくとしたら、それはとても大事なんです。
で、その為には、編集者が頑張っても限界があるんです。やっぱり経営全体が、女性の私が一人でいってもやっぱりダメで、やっぱりやり取りをしながら女性の感性を経営に入れて行くっていうことが、多分、会社を変えていけるんじゃないかと思っています。
で、勿論それによって、男性ももっと元気になっていきますし、そういう意味じゃ、男性が多い社会の中できましたけど、変えていけるんじゃないかと私は社長になって思っています

朝岡:

ほぉー!かなりあれですね。具体的にこういうことをやるんだということがね、もう下中さんの中でふつふつと、こうたぎっている!って感じですけどね。

下中:

百科事典って、「歳時記」って本があるんです。「歳時記」っていうのは、百科事典を季節で、時系列で編集したものなのね。
ああいうものは、やっぱり女性が作るのが得意で、うちでも、「くらしのこよみ」っていうアプリを作って、5日ずつ季節が変わっていくものの、それを発信して、それが全部できたら「歳時記」にしたっていう、これは所謂、時系列の百科事典ですね。それは防音デジタル。デジタルから生まれた紙の辞典も作りましたけど、そういうことってやっぱり女性の発想でとか、これからもっと大事になるかなとは思います。勿論、男性の発想も。
ていうか、男性と女性がもっとやり取り出来ることによって、全然違う展開があるはずです。

朝岡:

までね!まだ出来る事いっぱいあるってことですね。

下中:

と思うんですけどね、まだこれからなんですけどもね。

朝岡:

まぁ、あの100年後にも、是非平凡社には存在して頂いて、色んな本を中心に出して頂きたいと思いますけども、まぁその100年先の人間に何か伝えておきたいというものがあれば伺いたいなと。
事業を続ける上での心得でも結構なんですけど。

下中:

人は本に育てられます。間違いないです。そして、本より良いものはこの世の中にないと思っています。
これを100年後もやってもらいたいと思います。

ナレーション

平凡社、6代目、下中美都。
本は知恵の入れ物として最上のものである。自ら読んで自分の頭で考える。心に届く言葉を編集した「人の心」が入っている本を作り続けてほしい。
この想いは100年先の後継者に受け継がれていくだろう。