Story ~長寿企業の知恵~ 「 決断 」
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株式会社 はし藤本店
決断 ~ターニングポイント~

ナレーション

続いてのテーマは…「決断 ターニングポイント」
過去にはし藤を襲った危機や転機となった出来事とは?
それらを乗り越えるべく先代達が下した決断、そこに隠された思いに迫る。

石田:

決断〜ターニングポイント〜ということで、まずは、はし藤さんにとっての転機、ターニングポイントを伺えますか?

上中:

まず、1番大きかったと思うのが、2代目の時代にはなるんですけど、関東大震災ありの、昭和恐慌ありの、太平洋戦争に突入。っていう、ここがやはりターニングポイントだったんじゃないかなと思います。また、私の祖父が結核を患いまして、その奥さんである私の祖母ですかね、非常に頑張ったんだと思いますね。はい。

朝岡:

やっぱり、ご家族中心のその会社ですから、そういった様々な困難・危機は、家族中心に乗り越えていった、というですか?

上中:

はい、仰る通りです。

朝岡:

そういう話を聞いたりして?

上中:

はい。

朝岡:

直接?

上中:

特に祖母はすごかったみたいです!まぁ、私も勿論覚えてるんですけど、あの千と千尋の神隠しに出てくる、ゆばーばの様な(笑)非常に迫力のある方で。商売の才能はすごかったみたいですよ、気遣いですとかね。

朝岡:

そっかー、普通の会社だとね、そういうこと、先輩とか上司が、色々厳しく教えたり、嫌な思いさせながら覚えるわけですけど、そうやって、おばあちゃまなんかが中心に、こう色々話してくれると染み込みますねー!やっぱりねー!
上中さん、まだでも35歳でしょ、35歳でターニングポイントって言ったら、社長になったことですか?

上中:

いや、私はその以前の、やはり東日本大震災。あそこが、私の中の個人的なターニングポイントでした。
震災後なんですけど、注文が全くこなくなったわけですよ。やはり、飲食店さんもとても商売ができるような状態ではない。それだけでなく、私だけでなく、他の経営者さんたちもそうだと思うんですけど、あの、果たしてこの会社のある意義は何かとか、会社、日本にどんな力になれるのかとか、社会的にどんな活動をしたらいいんだろうっていうことを考える時期だったんですよね。日本全体がそうだったと思います。
また、価値観もみなさん変わったんじゃないかと思いまして。ただ食事をする価値観。お店を選ぶ価値観。全てが変わった瞬間だったんじゃないかなと思います。私は、まぁ考え方が変わったターニングポイントだったんですけどね。

石田:

みなさん、よくこう社長に就任された時が一番こうターニングポイントだったと仰るんですけれども、上中さんにとってはいかがでした?社長になる予定でした?もともと

上中:

もともと、刷り込みに近いものがありまして(笑)

一同:

朝岡:

そりゃ、おばあちゃんからね、聞いてたんだもんね!

上中:

はい。だから、小学校の時の文集ですとか、中学の文集ですとか、将来の夢って書く欄があるじゃないですか、私はずっと、家業を継ぐ。家業を継ぐ。なんです。箸屋をやる。箸屋をやる。だったんです。

朝岡:

やっぱり小さい頃からのそういう環境っていうかね、おばあちゃんを中心とした、何て言うかその…それがとても大切なんだなって気がしますね。