Story ~長寿企業の知恵~ 「 決断 」
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アース製薬 株式会社
決断 ~ターニングポイント~

ナレーション

決断、ターニングポイント。会社にとっての転機、経営者自身のターニングポイント。その裏に隠された物語とは。

石田:

続いては、決断ターニングポイントということでまずは会社にとっての転機・ターニングポイントを伺えますか?

川端:

ターニングポイントというのはその時代時代に細かくあったんじゃないかなぁと。殺虫剤がなかった時代から例えば家庭用品の「モンダミン」が発売したころもターニングポイントといえばターニングポイントかもしれませんし、いろんなことあるんですけど、じっと考えてみますと今がターニングポイントじゃないかと。

これはお客様の変化購買の変化も非常に激しい時代ですし、娯楽もテレビしかなかった時代から今はもうケータイの普及でいろんな楽しみがあるなかでいろんなことが起こり得る時代になったもので、ひょっとしたら今がターニングポイントじゃないかなと想いますね。

朝岡:

会社の経営理念とか会社のロゴも含めて変えられたばかりでしょ?そういう意味でも会社の変化をしているというのもあいまって、今がターニングポイントという。

川端:

そうですね。そうなれば良い意味でねそうなれば良いな、と願いも込めつつ思いますね。

朝岡:

なかなか自分の寄り添う生活商品ですから、そのもの自体が必ずないと困るというのとまたちょっと離れた所に位置している商品だと思うんですけどね、そこで商品に特化しているところからするとターニングポイントは常に今を見ていなければいけないというところがあるんですかね。

川端:

おっしゃる通りで、今朝岡さんが寄り添うという言葉を使ってくれたんですけど、そこに非常に重きをおいてるというか、必需品といえば必需品となりますけど、気がつけば使ってるなとこういったことを目指している。

そうなればお客さまのライフスタイルをつねに意識しておく必要が絶対にありますので、そういった意味においてはこの時代あるいはこっから先の時代というのは情報のスピード等を考える時に、お客様の変化が過去10年くらいで起こった変化が1年単位でお頃あるいはもっと早い単位で起こる可能性はありますので、そこは非常に大事なことだと思います。

石田:

なかなか自社の商品を評価されるというのは難しいでしょうね。お客様目線に立つということをずっとおっしゃってましたけなかなか難しいのかと。

川端:

一番大事なのはお客様目線、これはシンプルなのが好きなのでわかりやすくて、難しい言葉で言ってもわからない、伝わらなかったりすので、純粋に「お客様目線」あるいは「コミュニケーション」 といったような言葉を使って意味合い説明しようとしているんですけど、お客様目線と言ったらもうお客様目線がすべてだといったことですよね。

自分も一歩家に帰ればお客様、いち消費者に成る。その目線があるかどうかというのは本当に重要な、殺虫剤だけに限らずいろんなことに当てはまるんじゃないかと商品づくりは本当にそうなんですけど商売をやっているもんですから当然人対人の付き合いと言うか、お得意先もあればそういったことになりますよね。

そういったとこについてもお客様目線ということを当てはめて見れば、自分がお客様の立場であればそういったことを求めるんだということの意外と答えというのはこういったとこにあるんではないかと思いますけどね。

朝岡:

商品とかあるいは会社・企業そのものを知っていただくと言う意味ではもちろん広告とかになるわけですけど、ショートムービーも作ってらっしゃる?

川端:

そうなんです。今年になってアース製薬の考え方、理念あるういはそう言ってことをそういった形で伝えていくことができるのかと、当然行動で伝えていくことが大事なんですけれどもチャレンジしていきたいなあと思ったので一つにムービーというか、ミニチュア映画にしてこういうことを考えている会社んだと作りたいと思って今年チャレンジさせていただきまして。「吉田家の縁側」ということで作らせていただきました。

どうしても商品づくりをしている会社なので、ぱっぱかぱっぱか商品をだしてアピールをしたい思いもゼロではないしそういう声も社内にはあったんですがそれをやっていると今までと同じに成るので商品のことは殆ど出さずにある吉田家という人間模様のあるドラマの中に吉田家の中にはいろんなことがあるんだけど吉田家の縁側にはアースノーマットがいつの時代でもあるよねという。

そういったことをやっていますね。そういった商品づくりをしたいと。そういうことを伝えれたらいいなと言った思いで作ったんですけれども、いろんな賛否両論は先程言った意味ではあるんですけどね、こういったこととかもチャレンジをして取り組んでいければいいなと思っています。

ナレーション

大阪の難波で創業。以来、125年にわたり、安全、安心、快適な生活空間をサポートしているアース製薬。その6代目を務める川端 克宜が社長就任に至った経緯とは…?

先代、川端自身の決断、その裏に隠された想いに迫る!

石田:

ちなみにですね、川端社長御自身のターニングポイントはおありですか?

川端:

これも同じような形になるかもしれませんが、アース製薬に入ったのは縁があって入った、縁がなく入ってなかったら社長にもなってなかったかもわかりませんから、いろんなことがタイムタイムであるんですが、今のポジション社長になったときがターニングポイントだと思います。これは事実かもわかりませんよね。

朝岡:

社長就任はよんじゅう…

川端:

2歳ですね。

朝岡:

(よんじゅう)2歳ですか。これは業界的には青年社長と言われる年代であって、五十代後半から六十代で社長というのがケースですけど、随分お若い就任でしたね。

川端:

そうですよね、全く否定しませんですし、自分でもなるとは思ってまさえんしね、よもや。前の社長現会長がですね55歳で辞めているんですが、辞める5年前から「辞めるよ」と言っていたんですよね。

社員にもツルツル言い出して。先程朝岡さんもおっしゃられてように、若いじゃないですか?60(歳)でも70(歳)でも若い時代になってますから。僕ら社員はそうは(辞める)言ってるけど彼らもまあまあ言ってもまだだろと思っていましたがそれが1年たち2年たちしていたら後3年で辞めるよーあといよいよ2年だと言うんですね、毎日のように(笑)

朝岡:

カウントダウンしてくるわけですね(笑)

川端:

カウントダウンしてくるわけですよ。これちょっとホンマに辞めるなと大体2年前くらいから社内がざわつくというか、ホンマに辞めるんちゃう?ということから、ただ私は自分がやると思っていませんから「ホンマに辞めるんだろうけど誰に成るんだろうな」ぐらいなもんですよね。今でも鮮明に覚えてますけど。

朝岡:

最終的には先代社長から使命をされたという。

川端:

そうなんですよ。

朝岡:

形で?

川端:

ええ。びっくりしましたね。正直びっくりしたというのも通り一遍等な言葉ですけれどもそれ以外の言葉はなんにもないですよね。

ある日、当時大阪支店長をしていたんですけど、当時の社長が大阪に来る用事がございまして、珍しく得意先自分が用事がある先に「送ってくへん?くれれない?」というかんじ(に言ったん)ですよね。普通だったったらタクシーパっとご自身で行かれるんですよ。

珍しくそういうこと言うなと思ったもんですから「いいですよ」といったんですよ。社長ですしね。命令ですから逆らえませんし(笑)いくじゃないですか。社長が言いたかったんでしょうね(笑)

着いちゃったんですよ、目的地に。「つきましたよ」と言うとね、「もう着いた?」と言いそびれてるんですよ(笑)今から振り返ると。「ちょっとこの後時間ある?」「ありますよ」と。「じゃあちょっと車停めてお茶でも飲もうよ」みたいな。南だみたいな感じでしょ?(笑)

僕にとってはなんかあるんかな?みたいな話ですよね、僕にしてみたら。「分かりました」と言ってモデムのラウンジでお茶をしている時に「じきに俺が社長を辞めるっているのは知っているよね?」と(言うので)「言われてますよね」と。その時僕はスクープネタが入るかな?!くらいですよね、次期社長の話きけるわ~と。

自分だと思ってませんから。「で、その話なんだけれどね、決めたんだ」ああ決めたんか!と(思って)「そうですか」(と答えたんですよね)「お前やってくれへん?」(と言ったん)ですよね。サラッと「お前にきめてねー」と。その時立て続けに「実は役員会の了承も取っているし、創業家の方も了承取ってるからあとはなんも心配いらんからね!よろしくね!」という行為言い方ですよね。

このときはね、先程びっくりしたと言いましたけど、よくわかんなくてそのことの重大さとか、そういったことも含めて。所謂力強いはい!という返事よりも生返事のはぁかハイかわからんようね返事をしたのを覚えてますね。

朝岡:

それほどやっぱりいきなり言われても把握するのに時間がかかるくらい大きなことが…

川端:

そうですね。よく言われているのが大役というか大変なことを引き受けられましたね、とか言われた時どうでしたか?とか言われるんですけど、一晩考えさせてくださいとか言う洒落たことを言う余裕がなかったんですよね、何のことが理解ができなかったというか。みたいな感じでその時のことは覚えてます。

石田:

先代はそれこそ50代60代の方じゃなくてなぜ当時42歳ですか?

川端:

ええ。

石田:

川端さんに指名されたんだと思われます?

川端:

後から聞きますとね、いろんな候補がいたのは事実だと思うんですけど、ご自身の経験で、ご自身も40・・・39歳のときですかね?から社長を15年間やっててご苦労も当然今の会社の規模と違いますからね。

僕以上に苦労もしててというのはあるんですけれども、そういった中でご自身の経験がたぶん照らし合わせてやはり若い発想のほうが柔軟に発想できるだろうと、これは事実だと思うんですね。これも周りの環境下の中で当然上場していたという業績もありますから事実として1年1年の勝負なのは事実なんですけれども。

一方で長い会社の存続を考えた時に、すこし長いスパンで経営が見れる人材のほうが良いんじゃないかという事も言ってましたね。これは失礼になるかもわかりませんがやはり50,60のの人に引き継ぐと5年とか6年くらいのスパンで考えないので、そうなると10年20年のスパンでしか思いつかないこともあるだろうし、そうなった時に若いほうが良いんじゃないかってことはちらっと聞いたことはあります。

朝岡:

やっぱりそこが先代から受け継ぐというかつねにチャレンジしていくというか、長いスパンで会社全体のマネージメントをできるというのは大事なポイントだったみたいですね。

川端:

そうですね。今となってはその意味も、その時は先程も言いましたようによくわかんなかったんですけれども冷静になって考えると1年でできないこともたくさんありますし、当然1年でやらければいけないこともあるんですけれども、会社経営の中身を考えると時間の軸ということが要素を占めるというのもわかるなと思います。

朝岡:

社長に就任してから苦労したこと、あるいは社長以前でも結構なんですけれども、マネージメントで「長」がつくセクションというのは、どうしてもマネージメントの苦労とか工夫も必要だと思うんですがそういうご経験ありますか?特に苦いというか苦労されたというか…

川端:

よく言われてというか経験もそうなんですけど、いまもそうなんですよ、若くして社長担ったのは良いけど、先輩が部下だとか多いでしょ?とか大変でしょ?とかこういうことを言われて、事実かもわかんないんですけど。

先程も申しましたけど、コミュニケーションが大事ではないかなと自分自信の経験でもありましてね、腹割って話す、思っていることを伝えたら、100%その場ではわからなくても話していると、そういうことだったんか、とわかってもらえるとか、そういう経験をさせてもらえました。

もう一つは年上の例えば朝岡さん先輩を部下だとするじゃないですか。これを皆は大変だと言うでしょ?そうじゃない、逆に考えてみたら言われたことが有りましてね。年上の方が年下のいわゆる上司こっちの方が大変なんだよというのを聞いたことが有りましてね。

よく考えたらそうですよね。昨日まで後輩だったやつが上司になったらどっちのほうがしんどいか、これはもうお互い様ですよね。だから自分がしんどいだけじゃなくてやっぱり相手も同じように気を使ってしんどいことも有りますので相手の気持にならんと、考えたときにコミュニケーションを含めて大事なことがあるんじゃないかという経験が自分の中では大きな財産、石杖になっているなという考えですね。