株式会社 梅林堂
オープニング・創業の精神 ~家訓や理念誕生の経緯~
創業が1864年になりますので、ただいまをもちまして154年目になろうかと思います。
初代は久兵衛と申しまして、同じ埼玉の熊谷の田舎の方の出でございますが、その久兵衛が始めて以来、直系の形でずっと営業を続けさして頂いておりまして、私で6代目。また、この後続けば7代目、8代目ということでございます。
埼玉を中心に和菓子、そして洋菓子、或いはまた和菓子の生菓子、或いは米菓等のいろんなお菓子を販売をさせていただいております。特に日常のお客様、気楽にお菓子を好んでお使い頂けるようなそういうお菓子を中心に品揃えを指して頂いております。
埼玉県内に今32店舗。そして東京、或いは群馬にもお店がございますが、そのような店舗を設けまして営業さして頂いております。そしてまた、近年は、インターネットでの販売の、こういうお客様も増えて参りましたので、そういった営業形態も取り入れながら進めさせて頂いております。
~梅林堂のこだわり~
菓子屋でございますので、勿論、一番大切にしているのが‟商品の品質“‟味づくり”これが、初代の頃から、梅林堂にとっては生命線だということで、一生懸命味づくりに努力をして参りました。
特に、一つは香りをどう出すか、お菓子の香りをどう出すか、小豆の香りをどう出すかという風なこと。もう一つは、お菓子の味をですね、他の素材を混ぜた形で、他の味の力を借りてどう今の時代に受ける味を作り出すかという、この2点、これを研究しつつ、商品の品質というものにこだわって参りました。
香りと申しますと、お水と空気と言いますか、この“間”というものを非常に大切にしてきました。わかりやすく申し上げますと、「関東のお水を小豆でどう活かすか」
少し全国的にも硬めの、軟水の中でも硬めのお水でございますので、それを小豆の味づくりにどう活かしていくか。
それから、空気の力も非常に私は大切だと思っておりまして、「お菓子の中にいかに空気を抱き込むか」というのがもう一つのポイント。
近年、一方で、融合という意味では、小豆の味とそれからミルクの味とか、こういったものをお求めのお客様も多ございますので、そういった“新しい味との融合をどうはかっていくか”、それらを、お塩や、或いはお砂糖の味をどう借りて、一つの私ども独自の味を作るかということにかなりの力を注いでですねやっているわけでございます。
やはりお客様にとってですね、お菓子を販売をさせて頂く、ご利用頂くというのが商売の根幹ではありますが、それを取り囲む店舗の姿ですとか、或いはパッケージの形、お菓子を楽しんで頂くという観点から見ても、開けたときの感動、或いはお買い上げいただくお店の様子、勿論、お店の店員のですね対応。こういったものを総合的に含めてですね、一つのお菓子をつくりだしていくものではないかという風に考えてますので、そういったものにはですね、かなりいろんなものに注意をしながら、作り上げているつもりでございます。
特に、屋号がですね梅林堂という、こういう風な屋号でありますので、梅の包装紙等でこだわりながら用意をさせて頂いております。
基本的にお菓子というのは、生活の中になくてはならないものなのかと考えたときに、お菓子を食べなくても生きていくことはできるわけです。
一方でお菓子は、お菓子を食べながら甘いものをいただきながら口論をするとか、或いは変な表現ですが喧嘩をするとかはあり得ないことで、私たちが扱っている“お菓子の持つ効用”というのは非常に不思議なものがあるという風に考えております。勿論、景気の後退とか少子高齢化とかこういった時代の流れの中で、お菓子そのものの消費が増える・減るって、色々この流れがあるとは思いますが、お客様に喜ばれるお菓子づくりの中に必ずマーケットっていうのは拡大できるという風に信じてさして頂いております。
ここからは、テーマにそって、「梅林堂」の持つ長寿企業の知恵に迫る。
最初のテーマは、「創業の精神」。
創業から受け継がれる想い、家訓や理念などに込められた想いを紐解く・・・
「お客様に喜んでもらうお菓子をつくり続ける」この言葉に私は集約できるんじゃないかなという風に考えております。
このお客様に喜んでもらうということをよく考えてみると、お客様に対する想い・愛情、或いは自分自身、或いは一緒に働く仲間に対する愛情、こういったものがあって初めてそのものが出来上がる、こういった背景というものがあるから、お客様に対する喜んでもらおうとする想いというものが醸成できる、これが歴史だと。
先人たちの想いを汲んで、お客様に美味しいお菓子を作ろうという風に思えること自体がですね、なかなか難しいことであります。私にできることは、その想いを伝えるということでありますので、日々の仕事の中で常にその言葉を出す、いろいろな会議の場面、ミーティングや店舗に行ったときに、必ずその言葉を社員一人一人に伝えていく、この繰り返しを何度も何度も行っていくということが、ある意味では想いを伝えるという風なことに私は繋がるんではないかないう風にと思って、そういう具体的な方法でですね、まぁ繰り返してるということですね。
~融合と地縁で新しい発想を生む~
実はですね、私たちの2代目の寅吉。この2代目が作ったお菓子に、“荒川さざれ”というお菓子がございます。これは、卵白を使ったお菓子でございまして、ある時、ヨーロッパのですね、メレンゲ菓子ございますが、これを見た時、もしかしたら寅吉は、その時代にこのメレンゲ菓子を見て、当社の今続いている荒川さざれというお菓子を作ったのかもしれない。それは、メレンゲを立てて、そして、或いはお砂糖を入れる、或いは小麦粉を入れるというような形で、色々なメレンゲ菓子がございますが、当社のメレンゲ菓子は、実は片栗粉を入れたメレンゲ菓子なんです。
技術そのものはメレンゲでありますので、その技術というのはおそらくヨーロッパのものかなと。それを導入をしたということと、それから、地元で普段使っている片栗を使ったそこに我々が次の時代に向けてお菓子をどう作っていくかというヒントが、大きなヒントが私はあるかなぁという風に思っております。ある意味では“融合”であり、ある意味ではその“地縁”であり、こう言ったものをですね、いかに結びつけて新しいお菓子を作っていくか。
お饅頭は点心がその原点にあり、これが進化して今の日本流のお饅頭になった。このことを考えてみると我々の荒川さざれも、ある意味ではそれに近いものがあるなぁと。これが一つのそういったものを考えるきっかけになったっていうですね。
今回のゲストは、梅林堂 6代目代表 栗原良太
創業は1864年 埼玉県熊谷市で創業。
農民であった初代久兵衛が幕末の動乱のなか
京都や伊勢で食べた菓子のおいしさに魅了され、
おいしいお菓子を作ろうと思い立ったのがはじまり。
熊谷は中山道という、京都と江戸を結ぶ街道の宿場街として栄えており
「行き交う人々に一瞬の「幸せ」を届けたい」
それが梅林堂の原点となっている。
基本となる素材の選別や、煮る、練る、焼く、蒸す、包む、折るといった
お菓子作りの技術や技能の磨き込み、そして、試行錯誤の連なりが
個性的で豊かな味わいのお菓子を育んでいる。
現在は和菓子・洋菓子の製造・店頭販売の他
ブランディング戦略の強化を図り、事業を展開している。
「たくさんの方に喜んでいただきたい」という想いをお菓子に込め 創業から150年以上、熊谷の地でお菓子を作り続ける
今回は、6代目代表 栗原良太の言葉から
次代へ継承すべき、「梅林堂」の持つ長寿企業の知恵、を紐解いていく。