フォーラム「伝燈と志命」
第1回 地方創生経営者フォーラム・広島

1983年備後地区の特産、藍染絣織物業を創業。戦後、社会環境・生活スタイルが変化する中、時代の要請に応えて絣織物（かすりおりもの）の開発に挑戦する。しかし国内に於ける絣織物への需要の減退、更に輸出先であった中近東の政情不安・通貨切下げによる、輸出停止。

1970年祖業の藍染技術を活かし自社開発のロープ染色機により、デニム染色事業への転換を決断。その後、織布・整理加工・紡績工程の導入により1991年に「デニム一貫生産体制」を確立。販売面に於いては、円高が進む中、国内外のジーンズブランドメーカーに直販体制を敷く。

徹底した品質重視主義、圧倒的な商品開発力、そして地元生産への強いこだわりが「カイハラデニム」に織り込まれ、国内外でも高い評価を得る。県内4工場に加え、2015年秋海外初のタイ工場進出により、更なるブランドの深耕を図る。

日本で最も古い商店街の一つである浅草仲見世商店街。徳川家康が江戸幕府を開き、江戸の人口が増え、浅草寺への参拝客も増えた際、浅草寺境内の掃除の賦役人々に対し、境内や参道上に出店営業の特権が与えられたのが始まりと言われている。その仲見世商店街で長きにわたり店を構えているのが評判堂。

冨士氏は経営者としての顔のほかに、浅草観光連盟会長、仲見世通り商店街振興組合理事長、浅草神社奉賛会常任参事など自社の事業以上に浅草の街の発展の為に、尽力している。毎年5月に行われる浅草三社祭では、観光という視点だけでなく、地域の歴史と伝統を守るため、今は行われなくなってしまった舟祭礼（御神輿を舟に乗せて墨田川を渡御するしきたり）を2028年に復活させるべく、新たな試みも行っている。

「千福一杯いかがです♪」のCMソングで知られる清酒千福の蔵元・株式会社三宅本店は西国を代表する旨口の酒であり、明治末期より4000石以上の生産を誇った名門蔵。広島県下の品評会のみならず、全国新酒鑑評会も数々の受賞を誇ります。

昭和初期には海軍工廠のあった呉市の酒として戦艦に積み込まれ、軍用酒として重用されながら、満州や青島など中国大陸にも酒造場を興すほど隆盛を極めました。その繁栄の礎には、初代三宅清兵衛の、母と妻への「内助の功」への感謝と、「いつでも美味しい酒を売る」の精神があり、“千の福を育む酒造り”が、今日も三宅本店の哲理に脈々と流れています。