智慧の燈火とは
- 日本が誇る“世界遺産”の発掘プロジェクト -
一昨年に何代にも渡り暖簾を繋いできた長寿企業の方々との出会いによって、私の想いや考え方というものが一変しました。これまでメディアの使命というのは、「イノベーションを起こした企業や業界を牽引するトップ企業、世界に羽ばたく企業を取り上げていくこと」だと、常識のように考えていましたが「長寿企業それぞれの〝ものがたり〞に秘められた、哲学・文化・歴史観は21世紀・22世紀を乗り越えていく知恵となる!」と感じ、それこそが僕自身の使命だと確信しました。
日本は、世界に誇ることのできる世界一を数多く抱えています。単一国家として約2700年(125代続く天皇制)の世界 最古の国であり、世界一の長寿国でもあります。そして、もう一つの世界一、それが長寿企業大国です。創業100年を超える企業は約30,000社、更に200年企業は約3,000社、1000年を超える企業は11社と、どれも世界の半数以上が私たちの生まれ育った日本にあるのです。
現在に至るまでの100年間といえば、二度の世界大戦(1914年、1939年)を はじめとする、幾度とない戦争、世界恐慌(1929年)、リーマン・ショック(2008年)等の金融危機、関東大震災(1923年)や阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)等の自然災害と数多くの困難が訪れた期間です。それらの困難を乗り越え、受け継がれてきた長寿企業ですが、その知恵は全く残されておらず、社史以外には 書籍も 30冊程度と乏しく、伝えていく場もないのが現状です。
それは一体何故なのか。調べていく上で3つの課題に着地しました。1つ目は信用。長寿企業が何より大切にされているのが信用であり、信用のない企業、友人からの推薦・紹介がない企業との取引は慎重に行い、またメディア側が自由自在に取り上げる内容を決めることを善しとしないこと。2つ目は謙虚な経営姿勢。「長く続けられただけであり、我々が皆様にお伝えするほどの知恵はありません。」と常に身は低く、周りを立てられていること。3つ目は急拡大・急成長を求めないこと。長寿企業のうち7割を超える企業は売上5億円以下であり、従来のメディアで大々的に広告展開やプロモーションを行わず、地域や街、お客様への貢献を第一と考えていること。この3つがあるからこそ、世界中の長寿企業の半数以上が日本にあるにも関わらず、その知恵が遺されていなかったと推測しています。
「信用を護り、地域と人に貢献し、時代と共に伝承と革新を続けながら、“身の丈経営”を貫く。」長寿企業、一社一社では異なるものの、それぞれに秘められた知恵。これは資本主義時代における利益第一主義や理論・法則による経営手法(MBA理論)とは異なる、信用第一主義、それぞれの企業が唯一無二の道を見出す独自の経営手法が背景にある、と確信しました。
この長寿企業の知恵を、次なる世代・時代へと遺し継承していくことこそが、 22世紀ひいては23世紀にむけて必要不可欠であると感じ、「智慧の燈火プロジェクト」を発足いたしました。これは、創業100年を超える長寿企業が持つ唯一無二の〝ものがたり〞。その中に秘められた哲学・文化・歴史観を発掘していく「日本が誇る“世界遺産”の発掘プロジェクト」です。
私たちは一つひとつのご縁を大切にし、番組、イベント、雑誌、ウェブと様々なメディアと仕組みを通じて、「長寿企業の知恵」を次なる世代・時代へ遺していく架け橋(土台)を築いていきます。
