Story ~長寿企業の知恵~ 「 創業の精神 」
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社会福祉法人 至誠学舎立川
オープニング・創業の精神 ~家訓や理念誕生の経緯~

ナレーション

今回のゲストは、社会福祉法人至誠学舎立川 8代目代表 橋本正明(はしもと まさあき)。
1912年(明治45年)創業。創設者・稲永久一郎(いねなが・きゅういちろう)の少年への愛情と教育活動から導かれた理念、それは「まことの心」。
創設者の急逝を経て、「児童養護」、「高齢者福祉・介護」、「障害者福祉」など、現在は幅広い社会福祉事業を展開している。

今回は、そんな至誠学舎立川の8代目 橋本正明の言葉から、創業から現在に受け継がれている想い、語り継がれてきた、先代達の決断と苦悩、歴史の中に隠された物語、至誠学舎立川の持つ、「長寿企業の知恵」に迫る!

石田:

今回のゲストは、社会福祉法人 至誠学舎立川理事長の橋本正明さんです。よろしくお願い致します。

一同:

よろしくお願い致します。

朝岡:

至誠学舎…まぁ学舎(まなびや)という名前が付いてるんですけど、事業の内容としてはこれは福祉関係のお仕事ということになるんですか?

橋本:

はい。そういうね、歴史的な背景があるんですけど、基本的に社会福祉法人の社会福祉の仕事です。

朝岡:

うんうん。具体的にはどのようなその事業内容になってるんでしょうか?

橋本:

現在は、まぁ高齢者福祉事業、介護を中心とした仕事。それから児童福祉の仕事。児童福祉は児童養護施設中心に。あと、障害者の就労支援の仕事。それから保育所がいくつかあります。

朝岡:

あぁそうですか!

石田:

で、今は何代目でいらっしゃるんですか?理事長は。

橋本:

実はですね、私は理事長としては8代目なんですけれども、まぁ言ってみると3代目。だから、創設者の孫の代ではあるんです。

朝岡:

ふーん、あぁそうでいらっしゃるんですか!始まったのは、明治45年?

橋本:

そうですね。

朝岡:

かなり長い歴史をお持ちなんですが、昨今はほんとにその福祉だとか、まぁ介護だとか養護だとかそういうことに対してものすごく社会的に関心が高いですけど、その中でこの至誠学舎立川さんのその強みっていうか特徴って、どういうところにあるんでしょうか?

橋本:

やはりその最初に“学舎”という言葉がね、出ましたけど、実は私どもの最初の仕事は、創設者が地域で罪を犯した子どもたちを引き取って、自宅で職業訓練をして、まあ事業をしてたもんですから、そして社会に送りかえらしていくっていう、そんな仕事だったんですね。だから、まぁある意味で言えば更正事業ですけれども、そこで単に技術的なことだけじゃなくて、まぁ人の道を伝えていくということで、それで“学舎”っていう名前がついてるんですね。

朝岡:

あぁ!そこから、“学舎”という名前が。

橋本:

はい、学舎(まなびや)なんですね。で、それも戦前のことですから、言えばその頃は社会事業というくくりになるんですけれども、家族一体となってですね、仕事してたってことで、それが連綿と続いて現在に至るんで、ひょっとするとやっぱ歴史とその背景っていうのが私どもの特徴であるし強さであると、そんな風に思いますね。

朝岡:

今、施設の数…まぁ色んな施設があると思いますけど、施設の数と社員の数を教えて頂けますか?

橋本:

施設の数で言えば、まず子どもの児童養護施設、これが3つありまして、あと障害者の就労支援の事業が1つ。それから、保育所が11箇所。それから、高齢者の施設…これは介護保険になって状況がずいぶん変わってるんですけど、重度の介護の方のお世話をする施設が…まぁ、特養と言いますけど、これが3つ。それから、軽度の方、または住宅性の強い老人ホームが2つ。その他高齢者住宅であるとか、それから在宅サービスはたくさん、たくさんありますから。

朝岡:

あぁ、在宅!そうですか。その関わるその社員の方の数も相当多いですね!

橋本:

そうですね。全部法人全体で言うと、1300名。

朝岡:

あぁ!!そうですか!

橋本:

そのうち、高齢事業の方は700名ぐらい。約半分くらいが高齢事業なんですけれども。

ナレーション

ここからは、各テーマを元に、至誠学舎立川 8代目 橋本正明の言葉から、歴史と伝統の裏に隠された物語、至誠学舎立川が持つ、長寿の知恵に迫る…。

最初のテーマは、「創業の精神」
創業者の想いを紐解き、現在に至るまでの経緯を3代目 橋本正明が語る。

石田:

それでは、改めてですね、創業から現在に至るまでの経緯を伺えますでしょうか?

橋本:

そうですね。まぁそんなことで、申しあげたように創設者が明治45年。創設者はそのところ30歳だったそうですけれども、私の祖父にあたります。
田舎から出て来て、製菓事業…お菓子をつくる仕事を始めて、それはまぁ卸をするような仕事で、ある程度成功したんだと思うんですね。で、たまたま休日に浅草に行って、その頃浅草だから、遊びに行ったら、子どもが大人に殴られてると。
「何でか?」って聞いたら、あの子たちは仕事はなくて、生きてく場がなくて、悪い人たちの手先で使われてるんだ。それで捕まって折檻されてるんだって話を聞いたんだそうです。
それで、その事に深く感じるところがあったようで、後日、そういう子が生活しているようなそういう施設があったんですけど、そこに行って、その子たちを引き取って、2人引き取ったのが最初なんですね。
で、それを家に引き取り、家庭で生活させて、職業訓練しながら。そうして社会に一人前の…なんて言いましょうかね、市民として送り出していけたっていうことなんですよね。

朝岡:

はぁー!

橋本:

それがスタートで、それからだんだんその仕事が大きくなってきて、法律的に言うと、少年法という法律が大正の14年にできるんですけども、その時に、最初の民間の少年保護団体、そういう風な仕事をする施設として認可を受けて、それが続いていくんですけれども、まぁ戦前のことですから、何ていうんですか、、、それにかかる、、、何ていうかな…一方では仕事をしながら、そういう仕事…製菓事業をしながら、そういう社会事業もしていたと。
まぁそんな経過でずっとくるんですね。で、まぁ色々戦前のことですからありましたけれども、昭和17年にはもう財団法人化をして、私財を寄付してですね、

朝岡:

ほぉー!

橋本:

で、戦争だったですよね。

石田:

はい。

橋本:

で、色んな混乱があるんですけど、戦争が終わったあと、その創設者まだ63歳だったんですけど、急逝してしまうんですね。

朝岡:

ほぅー。

橋本:

で、戦後はまぁ第二の出発になるんですけれども、ここのところは大きな法人にとってのターニングポイントになるんですけれども、あと継ぐものが、今度は、まぁ戦前は地方省関係の仕事ですから社会事業ですけども、戦後は厚生省関係の仕事のお年寄りとか子どもたちとの仕事に取り組みだして、そして現在に至ったと。そんなとこですね。

朝岡:

あぁ−、その事業がだんだん、戦後特に展開をしていくわけですよね。で、ここに至るまでその規模というは、もう着実に大きくなっていったという道のりなんですか?

橋本:

規模から言えばですね、大きくなったっていうのは、やっぱり昭和30年から40年代くらいになってからってことですね。

朝岡:

あぁー!ってことですね。

橋本:

その前、戦後仕事が始まった時は、ほんとちっちゃな民間のですね、戦後は社会福祉法人になりますけど、ちっちゃな事業所っていうか法人だったんですけれどもね。
まぁ、多分戦後の日本の発展と、ある意味で言えば、軌を一にしながら、

朝岡:

そうでしょうね!

橋本:

で、社会も発展するとやっぱり福祉ニーズも広がっていって、それに対応して仕事が広がっていって、ということだろうとは思うんですけどもね。

朝岡:

あぁそっかー。2人のね、その少年をね、その何で殴られてるんだと。悪いことの手先になってるからやられてたのをそれはいけないって言うんで引き取ったっていう始まりが、その企業っていうよりも、やっぱり心と心を、大人が感じた心を少年に返してあげるっていうか、なんか救ってあげるっていうその辺の始まりのところがなんか至誠学舎さんにとっては大事なものなんですね

橋本:

そうですね。うん。歴史の重さっていうのは、すごく我々感じてます、いつでも。

石田:

なかなか出来ないことですもんね。
それでは、至誠学舎立川さんの家訓や理念を伺えますでしょうか?

橋本:

名前が示してる通り、“至誠”なんですね。誠ということなんですね。多分その創設者、これ創設者の心だったんですけれども、やっぱり人の道ってことだったんだと、誠に生きるっていうね。で、創設者が遺した言葉が色々ありますけれども、私どもが今大事にしているものは、『まことの心の働きは・人の心を動かし・天に通ず』

朝岡:

あぁー!

橋本:

それは非常にですね、私ども言っておりまして、大きな資産を与えてくれている言葉だと思ってます。その心情っていうかね、人の心っての、それは、私どもの仕事っていうのは対人援助の仕事。人と人との関係ですよね。その時に感じ合えると。

朝岡:

うん!

橋本:

まぁ色々な心に傷を持った人。動かされて、そのことは、やっぱり天の道へ通じるってね、誠の道だと。これは人の道だという風に言うんです。言われているんですけどね、これは、ご承知のように儒教の精神が背景にあって、まぁある意味では佛教の精神もそこにあるですけれども、だけども、宗教的なものを私ども持ってるってわけではなくて、ある意味では、誠に生きるっていうかね、誠の道とか、誠の心ってのを私ども言ってるんですけども。まぁ、それがうちの法人の、、、何ていうかね、、、やっぱり基盤りというか精神的なバックボーンにあっているんですね。

朝岡:

といいますと、まぁその、企業というか事業という形をおとりですからね、新しい社員というかその入ってらっしゃるそういう方々に、今の仰ったその理念というか、誠の心というか、それをどういう風にこう浸透させて、理解してもらって、実践していくかって、とっても大事なところだと思いますが、どういう風になさってるんですか?

橋本:

そうですね。創設者がこれも遺した言葉ですけれども、人から至誠というのはどういうものかと聞かれた時にね、創設者は、「私の生き方そのものだ」って言ったそうですね。

朝岡:

あっらー!

石田:

おぉー!

橋本:

だから、非常に真面目な人だったんですね。で、じゃあ、今1300人いる職員にどう伝えていくか、これそう簡単なことじゃありませんけれども、昔と違って今は社会福祉の専門教育を受けた人たちが中心でありますよね。まぁソーシャルワークっていう風に言うわけですけども。そのベースに私どもは日本のソーシャルワークのベースは、やっぱり誠の心だということは常に職員には伝えます。
で、まぁ勿論、機会ある毎に伝えていくし、色んな実践活動も基本はそこにあるんだということを日々の職員指導だとか職員の育成であるとかね、そこの基本に据えられている。だから本当に1300人、こう、まぁ多分…私信じてますけども、みんなその職員は何があるかって、“まことの心”だってみんな言うと思うんですね。

朝岡:

ほぉー!

橋本:

非常にそういう意味ではですね、具体的に何かっていうことではなかなか明確に言いにくいんだけれども、実践自体がそうだっていうね、想いを強く持ってるっていう風に思っているし、私どもにとってもそれが誇りでもあるし、また、うちで仕事してる人たちもそういう法人で仕事をしたいということで来てる人たちだという風に思っております。

朝岡:

うーん、まぁそれは随分こう強みというかね、ほんとにあの…なんか説得力ありますよね!

朝岡:

そうですね。“まことの心”ですか。

橋本:

私は3世代目だから、それほどたいしたことではないんですけど(笑)

一同:

橋本:

想いは持ちながら仕事してますね。

朝岡:

想いは大切ですよね!

石田:

はい。誠の心は、シンボルマークだったりロゴにも使われているんでしょうか?

橋本:

そうですね。私どものマークが至誠学舎。多摩川の流れを組み込んでですね、

朝岡:

あ、今、記章を付けてらっしゃいますね?

橋本:

そうですね。

石田:

そちら…

朝岡:

あっ、多摩川の流れが縦になって、Sで、、、

橋本:

学舎のGです。

朝岡:

あっ、Gがなってる!あぁーそういう意味で!

橋本:

だから、もうこれ気に入ってるんですよね(笑)

一同:

朝岡:

あぁー、それがね!あぁーそっかー!
まぁ先程、1300人社員がいらっしゃって、事業をやってらっしゃる企業の代表としてはですね、なかなかこう全てを一応把握というか、していかなくてはいけないっていう側面もあると思うんですが、その辺りも橋本さんはきっちりこう?

橋本:

まぁきっちりかどうかはわかりませんけども、私も現場から育ってきているもんですからね、それから、私は基本的には高齢福祉の教育だったもんですから専門が。だからそこについては、まぁ、何て言うかね…把握っちゃ十分だと思ってますけど、新しい児童福祉の仕事や保育の仕事っていうのはね、私にとっても、まぁ社会事業、社会福祉だっていうことは変わりませんけれども、年に1回はね、まぁ行事なんかもありますしね、顔は現場には出すようにしてたり。
それから、毎月1回、「まこと館だより」っていうお便りを書くんですけど、毎回私のメッセージをみんなに伝えて、まぁそんなものを配って、まぁ会議も勿論たくさんありますけどね。まぁなるべく。直接ケアにあたる人たちは現場の人たちですから。それで、その人たちを掌握しているのは、支店長さんたちですから、よく意思疎通っていうかですね、何て言うか、考えを浸透させていくっていうことを、大きな自分自身の心がけてしているつもりでいるんですけどね。やっぱりこう伝えるってことは大事なことだと思うんですね。

朝岡:

そうですね!コミュニケーションも含めてね、伝えていくってことはね!

橋本:

訪問するとか、毎月出すそのお便りとかね。まこと館っていうのは、法人の本部なんですけれど、これもシンボルみたいなところがあってですね、そのまこと館だよりっていうのは。だからはよくこういうところだと、利用者の方へのや家族の方へのお便りってありますけれど、私ども職員に対してなんですよね。それが大事だという風に思っているんですね。

朝岡:

なるほどね。

橋本:

その他にも色んなことがありますけれどもね。

朝岡:

うんうん。