Story~長寿企業の知恵~ 「 NEXT100 」
←前のパート
企業トップに戻る

株式会社 船橋屋
NEXT100 ~時代を超える術~

ナレーション

「NEXT100年」~時代を超える術~。革新を続け、100年先にも継承すべき核となる部分とはいったい。長い歴史と共に先代達が綴り、時代を超えて語り継がれてきた船橋屋の物語。8代目当主渡辺雅司が次代へ届ける長寿企業の知恵とは。

渡辺:

ちょっと夢がありましてね、プロバイオティクス企業を作りたいなと思っているんですね。先ほどから申しているとおり、くず餅というのは450日樽の中で発酵させておりまして、江戸時代からずっと生きてきた乳酸菌があって、くず餅の中には13種類くらいの乳酸菌がひしめきあっているんですよ。

7年前から研究を大学病院とはじめて、7年前にわからなかった菌が5種類くらいいたんですよ。その後発見されて、一昨年くらいから、人の免疫力を高める菌がくず餅の中にいたことがわかったんですよ。ラクトバジェルスの一種なんですが、新種だったものですから、くず餅乳酸菌ということで商標登録して、とれたものですから。くず餅株という名前を図々しくも付けまして。

その乳酸菌を同定して抽出して培養して、サプリメントの実験をしてみたんですね。それを医療の世界で体にどのような影響があるだろうかということで、8名の年代と性別の違う方々に2ヶ月間接種していただいて、腸内フローラの動きを見たんですね。そしたら全員の悪玉乳酸菌がいなくなっちゃったんです。これはすごいということで、まさに製造の最後の部分なんですが、早ければ来年の頭にも医療機関専門のサプリメントが出来上がるんです。

ちょっと今日持ってきたんですが、これはなんでもない乳酸菌を持ってきたのですが、これをカプセルに入れて、2017年の頭くらいからお医者様の間で出すと。もう結構コアなファンが沢山、サンプルだけで付いていてですね、もう半年くらいしたら、一般向けにジュレタイプの黒蜜味の美味しいやつを出していきていなと。

これも試作の方は終わっていまして、ウィダーみたいに手軽に摂れる。1日1包5チューチューするだけで、つやつやになるよみたいなサプリメントを出していこうかなと。これをもって社団法人をつくりまして、くず餅乳酸菌研究所というのをこの前起ち上げまして、ここでラボをつくって色々研究していきたいと。どこが良いかというと、動物由来ではないということ。

植物由来なので、乳アレルギーの方でも摂って頂けるということと、211年ずっと生き続けた菌なので、もの凄く強い菌なんですね。それを皆様方の体の何かお役にたてる形で出していければいいなというのが将来の夢なんですね。くず餅屋さんというよりもこちらの方で自分はやりたいなと思っているんです。

朝岡:

それが変わっていく部分。

渡辺:

変えていく部分。もちろん変わらないくず餅はそのまま。この前も68年くらい経っている本店を耐震補強しまして、そのまま残していくと。くず餅も2日間しか売らない。

朝岡:

450日熟成して。

渡辺:

そこは絶対変えない。技術があったとしてもここは絶対変えない。海外にはくず餅乳酸菌なら出せますから。それでくず餅って何だってことになると思うので、東京オリンピックに向かって食べに来てくださいよと、そういうような。

朝岡:

なるほどね。老舗の生きてく二大鉄則、守るべき伝統と変えるべき革新。これを見事に渡辺さんのところはおやりになってるんですね。

渡辺:

くず餅乳酸菌が出来ましたので、いろんなスイーツに入れられるんですね。そうすると発酵和菓子が出来あがるわけです。その発酵和菓子の専門店もつくっていきたいなと。体にもいいお砂糖を使うとか、こだわって、ひとつのブランドを作っていきたいなと思っています。

朝岡:

日本に100年を超える企業が非常に多くて、世界的にとても注目されているんですけど、中でも食べ物を扱うお店で100年、200年続くお店があるのは日本だけなんじゃないかと思うんですよ。その中でこれからの100年に渡辺さん、そして船橋屋さんが残していきたいこと、100年後に伝えていきたいことっていうのは何でしょうか?

渡辺:

100年と200年でも大きな違いがあるんですね。明治維新を挟んでいるという。200年企業になると急に少なくなる。100年企業は結構あるんですけど。3000社しかないんです。

どこが違うかというと、社会構造が変わっても生き残っているということは、社会から必要とされているんです。社会性のある企業だと思うんです。社会性というのは、世の中の色んな問題とか、そういうものにどうやってアプローチできているかというのが凄く大切だと思うんですね。

我々は食の安全性とか、さらに良いものを体に入れて頂きたいという想いを、ずっと新しい形で繋げていきたいという風に思っているんですね。そのやり方としてはくず餅が基準になることは変わらないんですが、色んなブランドを増やしていきながら、ずっと残していくものというのは、潔さと儚さというものが日本人の心なんだと。ここは心として活かしていくんだけれども、見せ方を凄くクールなものというか、未来的なものにしていきたいなと。

これから人工知能なんかもどんどん入っていくので、こういう乳酸菌の配合なんかも、色々と勝手に人工知能が出すようなハイブリットというか、先進的な和菓子をどういう風に作っていくか。たぶんそっちの方へいくんじゃないかなと思っています。世の中大きなデジタルに分かれるか、完全なアナログになるのか、どっちかだと思うので、アナログのちょっと後ろにもの凄い高度なデジタルがあって、それを支えていくような。

それが世の中全体を作っていくというか、幸せにしていくような仕組みを作っていきたいなと思っています。そしてやるのは人間ですから、いつも人間が幸せで健康でいられるような仕組みづくりというのを微力ながら出来ればいいなと思っています。

朝岡:

みんなが幸せになるくず餅と会社ということですね。

渡辺:

久しい寿と書いて別名「久寿餅」というんです。