Story ~長寿企業の知恵~ 「 決断 」
←前のパート
次のパート→

株式会社 土橋園
決断 ~ターニングポイント~

ナレーション

続いてのテーマは、「決断・ターニングポイント」
土橋園の発展と共に訪れた苦難、それらを乗り越えた先代達の決断を
土橋園 5代目土橋武雄が語る。

石田:

決断、ターニングポイントということでまずは土橋園さんにとっての転機・ターニングポイントを伺えますか?

土橋:

自動給茶機、その中のそれを昔、茶葉を入れてたもんですから、最初のだと5杯目くらいを飲むと味が変わってきちゃうわけですね。それの均一化を図るために、これはやっぱり粉末という声・・・一煎一煎同じ味のものが出てくるように、だと。給茶機の茶葉から粉末にしていったっていうのが一つのターニングポイントだと思います。
やはり東日本大震災ですか・・・あの時に地震でうちも全国展開してましたんで、仙台とか東北地方のお客様の自動給茶機が倒れまして、お湯とか倒れてこぼれたり、火傷をされる方はいらっしゃらなかったんですけれども、そういう意味では非常にうちの社員が一生懸命頑張って東北中を走り回って全部直したり入れ替えたりしたんですけど、それでだいぶ・・・ でもそのあとが、もともとの節電ということで全部電気抜かれちゃったんですよね。そうしますと冷たいお茶も飲めないでしょ?あったかいお茶も飲めない。でも会社にとって無用なものって言ったら言い過ぎなんでしょうけれども「だけどやっぱり今は使えないね」ということで、撤去と。
そのあと、今度は自動販売機に移っていって、「自販機で社員さん自分でお金出して飲みなさい」みたいな形になってしまったと。その辺もある程度見られることだったんですけれども、一番困ったのは風評被害ですね。
要するに放射能がお茶のあれ(葉っぱ)について放射能が出るということで、富士山のふもと、それから静岡までですねそういうの(放射能)が出たということでお客様は「お前のところは証明書がついているからいいよ」と言ってくださるんですが、うちのお歳暮でお茶を送ろうとすると「私はわかってるのよ。でも(もらう方は)どう思うか。だから送れないのよ」という。

朝岡:

つらいですよね。

土橋:

そうです。お客さんは「わかってるのよ」というんですけど、やはりね、そういわれちゃうと・・・「おっしゃる通りで」って・・・今その辺がちょっと一番つらかった時期ですね。4.5年続きましたですけれども。はい。

石田:

そうですか。特に東日本大震災の後のお茶の風評被害、給茶機が自動販売機に代わっていっちゃうっていう状況をですね、これはしかし座して見てるのは本当につらかったと思いますが。

土橋:

はい。

朝岡:

乗り越えるためには何か動かれたんですか?

土橋:

やっぱり信用っていうんですか?(給茶機が)倒れないようにするには倒れないような・・・きちっとですね、下に留めるとか全部そういうことをですね、全機械全会場さん回ってそういうのをさせていただいて、これだったら平気ですよとかいうのはやったということと、その時にうちの社員が東北中とか回って頑張ってくれたというのが一番の支えかなと思いますね。

朝岡:

あとは茶葉の風評被害関しては、お茶の産地の方ともそこで関係が崩れてしまうわけにもいかないからなかなか大変だったんじゃないですか?

土橋:

いや・・・あれはもう我慢ですね(笑)。やっぱり農家の方と二人三脚でやってますから、「お互いにつらいよね」って言って、それでもわかってくれるお客様にわかっていただけるように努力しながら、一軒一軒説いて回ったって言い方は失礼かもしれませんけど、やはりそうですよという現状を説明して回ったということですね。でもそうしても先ほど言ったように贈り物とした場合には「私はいいのよ。相手の方が」って・・・これだけはもうやはりどうしようもなかったということです。

朝岡:

でもそのほかのところは、フットワークとね!

土橋:

はい。

朝岡:

誠意で、フットワークで、直接お話、コミュニケーションして少しずつ少しずつ・・・

土橋:

そうですね。

石田:

一方で土橋さん自身にとってのターニングポイントというのはございますか?
何かこう代表になられてから新しい取り組みを始められたとか。

土橋:

私自身は営業をずっと22年やっているんで、特別私自身のあれはない・・・まあ先代先々代と、社長になってからは一番どこに重きを置こうかと思ったときに、やっぱり人間だろうな、と。人だろうなと。社員をどうしていくんだと。社員あっての会社だということを肝に銘じて私としてはそれを思って、現実的にお話ししたような風評被害に向かうにもやっぱり頼むよね、任せる!ということが大事かなというのが一つこういう時に思いましたね。

朝岡:

最近はいろんな試みというのも、特に土橋さんが社長になってから土橋屋さんをおやりになっているんですけれども、イートインっていうんですか?

土橋:

はいはいはい。

朝岡:

この試みもおやりになってると伺いました。

土橋:

はい。「プランタンさん(ブランタン銀座)」のオープンにあわせてうちがお茶の売り場として出るというときにですね、考えてみればあそこのデパートさんは若い方中心ですよね?

朝岡:

はい。

土橋:

ターゲットがそういう方たちだったんで、有名百貨店みたいなある一定のお得意様がないので新たにするってことなんで、じゃあ一ついろんなことを試みましょうということで、全く新しいことを試みさせていただいたということで。
その時、イートインもそうなんですけど、その前に少量の小口パッケージというものを作りましてお茶を10グラム20グラムにしまして「ピックアップティー」という名前を付けましてですね、全部自分でとってこれを自分の好きな人に小さな贈り物という形で。それでリボンをつけたりして。そういうので「ピックアップティー」というのを作ったんです。 でもそれその時に、「これ人にあげるのに飲まなきゃわかりませんよね?」ということで、そこでカウンターをつけてイートインにしたということが。

朝岡:

あーそういうことですか。

土橋:

イートインでしようということではなくて、少量のピックアップティーをお客さんにあげたい、でも自分が飲んでおいしくなければあげたくないだろうということで。

朝岡:

試飲をする?

土橋:

試飲というとあれですけど、それの味わい方も提供して・・・そういうことで一緒にやらせていただいたという。非常にこれは受けたんですけど、まあ全国展開までちょっとできなかった部分で。ちょっと最後はやっぱり人手不足というんですか、そのころバブルのころでちょうどできなくなって、閉ってしまったんですけれども。

朝岡:

そうですか。また新しいこともね、新しい試みを・・・

土橋:

お客さんは同業がものすごい来てまして「なんでこんなバカなことやるの?」と。

朝岡:

(笑)

石田:

(笑)

朝岡:

でもね、給茶機の時もそうですけど、「あんなもの作って」て言われたとおっしゃってましたけど、だいたいその後の発明でもなんでもね、最初はね、「なんだあれ?!」ってね。それを厭わずよくお考えになりますよね。新しい伝統的な食文化のお茶というところからね。

土橋:

現状維持では何も打破できませんからね。何か、何か、今でもなにか考え付けばやりたいなと思ってるんですけどね。いい知恵あったら教えてください(笑)

朝岡:

(笑)そういう方なんだよな、土橋さんは。